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(2) 品質保証制度

品質保証制度は全社的なシステムとして確立されなければならないが、特に重要な項目は、品質保証のための組織と分掌の明確化、品質保証と製品責任の活動指針、品質保証体系の明確化、品質保証システムの具体化などであるが、責任と権限については、組織の独立性や各担当の品質責任および品質管理担当部門の具体的な権限の明示は、内部の品質管理活動の重要な指針となるものである。

(3) 品質保証のための人的要件

認定事業場の人員及び要件に関する法的必要条件の厳守はもちろんであるが、企業の品質管理スタッフとして最適格者の人選(選定基準と人材育成)は、その貢献度から考えて最も重要な要素である。

(4) 品質保証のための技術的標準

開発技術や設計技術は固有技術の確立または独創的技術の確立の面で欠くことのできない企業の技術的財産であるが、そのなかで技術的標準(研究標準・設計標準・製図標準・試作標準・試験標準・生産設計標準など)は最も大切なノウハウであり、信頼性工学とのかかわりのあるものは将来性に富む技術的財産である。

また、社内規格に至る範囲で品質や価値との結びつきも必要であり、それらの体系化は品質保証の上で特に重要な課題である。

(5) 品質保証のための基準と技法

品質に関する基準は、工程能力や品質水準を考慮した10大品質の目標基準であり、技法は統計的管理技法、自主検査制度、QCサークル活動手順を含むものである。

ここでの10大品質とは、一般的には?要求品質、?設計品質、?材料品質、?購買品質(購入、外注、委託)、?工程品質、?生産品質(加工、仕上げ、組立)、?試験品質(性能、運転)、?検査品質(検査、監査)、?出荷品質(包装、梱包、出荷)、?市場品質をいう。

(6) 保証品質の評価

品質管理委員会を中心とした品質管理活動の中で特に品質監査と評価は定期的に実施され常に合理的な改善活動が実施されるよう考慮されるべきである。

(7) 品質保証のための教育体系

品質保証活動のなかで、層別に必要な知識と能力のバランスがとれているかということで、全社的活動の上で問題となる要素である。

この問題を解決するプログラムと努力は制度的に実施することが大切である。

 

2.3 認定事業場の品質管理責任者

 

認定事業場の検査主任者および代行と直接監督者に関する法的要件と基本的任務については周知の通りであるが、管理能力に優れていることを必要条件としている。

管理とはマネジメント・サイクルであり、安定化または積極的な改善向上を図るためには、あらゆる阻害要因を除去し、経営的にも理論的にも貢献度を高めることが必要である。

従って、品質管理スタッフは広い知識と管理技法を体得しなければならない。簡単に表現すると、品質管理スタッフは全般的な専門知識はもちろんのこと、経営的技法を習得し、目的のために改善努力することのほか、経営の効率化に貢献すべきである。その意味で経営学・経営診断技法を始め専門技法、トータルIE、OR技法・統計的技法などに挑戦することが必要である。特に前項で述べた品質コスト改善(コスト改善システムの意志決定のためのコスト戦略)は企業経営に欠かせぬものである。

経済成長と社会的変化に対応する新しい経営理念と経営活動のコスト改善計画に挑む品質管理責任者の姿も遠からずみられるであろう。

 

 

 

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