ゴム糊溶解に用いる溶剤はトルオールを主体としたもので、ベンジンではない。(ベンジンは付着油脂清掃用)。
縫糸は合成繊維の糸を使用するが、ビニロン布に対してもナイロン縫糸が使用されるのが普通である。
縫合部の強さはミシン縫の密度と使用糸の太さにもよるが、原布の60〜80%に落ちると見てよい。
(C) 索、テープ類
自動索(一端を本船に固縛し、他端は作動索を取付ける。安全索を取付けるともやい綱の一部ともなる)、もやい綱、帯索等は通常同種の合成繊維のものを使用し、作動索だけはステンレス鋼索が用いられる。通常、内外周救命索、手掛索等は合成繊維扁条20〜25mm幅のものが用いられる。これらの索の規格を表4に示す。
救命索は索自体が浮くようにポリプロピレンテープ(比重0.9)を使用している。同様に浮環の索も浮力のある索やポリエチレン組紐を使用している。
索やテープはこの他シーアンカー、はしご、復正装置、袋、艤装品、流失防止索等随所に使われているが、目的に応じて選定してあるので、修理交換に際し前と同一のものを使用する必要がある。また、暴露部のものは劣化が激しいので注意を要する。
(d) 金具類
金具類はすべて耐食性材料または防蝕処理を施した材料でなければならないので、ステンレス鋼、耐食アルミニューム合金、黄銅、銅およびこれらにクロムまたはニッケルメッキしたものが使用される。
積付架台の如く大きい構造物は亜鉛メッキまたは防錆塗装を施した鋼材製が多い。
(e) その他
最近合成樹脂材料の発達が著しく、種々の目的に金属に代って利用されたり、浮力材、緩衝梱包材、防湿袋に使用されている。類似のもので性能の著しく異なるものもあるので選定には慎重を要する。