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はしがき

 

船舶の遭難時における膨脹式救命いかだの有用性については、コンパクトで使用の簡便さからますます認識され乗船者のこれに期待することは極めて大きく、かつ、非常の場合正常確実に作動することを当然としている。

しかしながら膨脹式いかだは、その材料が特殊であること及び機構が複雑であること、またいかだ自体がしばしば改良されてきたことからその性能を完全に発揮させるためには、ひとえに整備点検の適否にかかっており,整備従事者の自覚と技価の充実がなければこれは期待できない。

この指導書は、いかだ整備事業場の責任者及び整備技術者の必携、必読の参考書としてその道の権威者の協力をえて編集されたものであり、いかだの整備に従事する者は、本書を熟読し整備技術の向上研鑽に努め、乗船者の期待に応え人命の安全確保に寄与されることを希望する。

特に膨脹式救命いかだの整備認定事業場においては、膨脹式救命いかだ整備規程に従って整備を行なったときは、船舶安全法に基づく国の検査を省略されることになっているので、一層その使命の重大さを自覚する必要がある。

本書は、昭和42年に初版が刊行されて以来、法規の改正、いかだの改良、検査の制度及び検査の方法等の変更により、いくたびか改訂、補遺がされてきた。平成9年7月1日船舶安全法等の改正により、船舶検査証書の有効期間が現行の4年から5年に延長されたことに伴い、膨脹式救命いかだの整備時期といかだの製造後の経過年数により整備事項が定められ、整備内容等の変更があったので、これらを見直し改訂を行った。なお、法規の改正、いかだの改良等により新型式品を搭載した船舶と旧型式品を搭載している船舶が存在している実状にかんがみ、本書ではこれ等の何れについても対応できるよう併記してあるが、整備、指導に当たってはその区分を正確に把握するよう注意を願いたい。

 

以上

 

 

 

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