反応し発がん性のある有機ハロゲン化合物(organic halogen compounds)を生成する事が明かとなった。これをトリハロメタン(trihalomethane)と総称し、クロロホルム(chloroform)、トリブロモメタン(tribromomethane)、ジクロロブロモメタン(dichlorobromomethane)、クロロジブロモメタン(chlorodibromomethane)が含まれる。フミン質は土壌中の腐食質やし尿処理水(excrete treatment)、下水処理水(sewage treatment)など生活排水中に存在する。カビ臭の原因は前に述べた2-メチルイソボルネオールやジオスミンである。トリハロメタン生成量は、水温が高いほど、塩素との接触時間が長いほど多くなる。
これらトリハロメタンの除去は、活性炭(activated carbon)とオゾン処理(ozone treatment)を組み合わせた高度浄水処理を行う方法がある。しかし、本来は原水の有機物による汚染をできるだけ少なくする事である。
3 まとめ
水系伝染病(water borne disease)は水を介した感染症であるが、その原因が究明されるために人類は数千年の年月を費やしてきた。しかし、浄化した水を供給すればよいとわかりながらも、安全できれいな水が未だに供給されていない地域や国が多数あるのが現実である。
さらに、人口の増加と都市化は、単に水を浄化しただけでは済まない状況になりつつある。すなわち、水の量と共に質が大きな問題となっており、日本だけでなく国際的な取り組みが必要とされている。
家庭から排水される有機物質および数々の化学物質、さらに工場排水による水質の汚染を防ぐには、環境基準項目と基準値を定め、集中的な処理または企業にあっては自社内処理により基準値以下の水を河川、湖沼、内湾に放流するような措置とモニタリングによる監視が必要である。
近年問題となっているのは、自国の規制措置が厳しいため基準値のない発展途上国に工場を移転じ生産する企業がある。国際的な基準値の設定と監視を必要とする。