水資源問題は環境問題とも深くかかわることもあって、OECDもこの問題は環境政策委員会が担当しているし、ESCAPでは「持続可能な開発と環境委員会」が取組んでいる。また、この問題は経済協力事業であれ、民間経済ベースの取組みであれ、かかわることが大きいので、2国間協議、例えば「日中水資交流会議」(昭和60年東京)などの取組みもあるし、流域にまたがる国が多いためにメコン河開発委員会のような取組もある。メコン河開発構想の中で明らかにされているようにシナリオ如何によって関係各国の成長などへの寄与が異なるなどの利害の調整も深刻であろう。
工業化のプロセスでは各国の間での資本関係、製品化の段階での貿易の問題など利害調整の波及するところは広い。工業化に伴う水資源問題は移動性の高い粗原材料と違った課題を抱えていることは現実であるが、持続可能な開発と環境の維持のために、水資源開発のノウハウ、資金、技術面の協力は重要であろう。