護の機能をもっている。水資源の統一的管理保護のために省間の水配分の代替案、長期水需要計画の策定などが取組まれ、現に長江の水の黄河への転送などの事業にもなっている。
中国の年平均水資源総量は28,124億m3であるが人口ー人当たり流出量は2600m3で、世界平均の4分の1と供給条件は良くないと判断されている。
過去の40年間の水管理事業の成果としては洪水制御能力の向上による農地潅漑を中心とした管理が現状であるが、潅漑地の農作物は全国生産の3分の2に達しているとされている。
また、都市、工業用水供給については、多くの事業によって毎年500億m3の都市工業用水の供給がなされているとされている。これは前記した水資源総量の2%弱にすぎない。しかし、農地地域にあるために農業用水とされている郷鎮企業の使用量は実質的には工業用水とみるべきであろう。なお、参考までに工業用水とも関連する水力発電についてふれておこう。表に示すように、工業化のテンポを強めた70年代、80年代を中心に発電量は大幅に増加して約20年間に6倍となっている。
むすび
東アジア太平洋地域の工業化の下での工業用水の事情を、水資源全体とかかわらせながら述べてきた、各国のおかれた自然的条件の差もあって、工業化と整合的な工業用水の供給がどの国でも効果的に行われているわけではないし、多くの国で国の施策も農業用水主導の下で行われていることもあって、水資源の供給確保には工業にとってみれば、インフラ整備の遅れと類似した現象を呈している。これに関連して指摘しておきたいには世銀の今後10年の東アジア諸国のインフラ整備の必要性で、対GNP6.8%うち水関連の0.7%という予測である。アセアン諸国の中でも工業団地が開発されたが、工業用水の確保が十分でないために、企業の進出が滞っているケース、あるいは地下水汲上げによる地盤沈下の発生、ここでは立ち入らなかったが廃水管理の不備による水質汚染など環境問題の発生等々である。