ラ依存の率は65年以降13%程度で横ばい的に推移しているが、地下水汲上げなどによる比率は21%から14%へと大きく低下する一方回収水の比率は66%から74%ヘと上昇している。地下水汲上げによる地盤沈下の影響などを考慮した対応が進んでいるといえよう。従来は地下水は水質的には最高の水源であると評価され、積極的に利用される方向にあったが、地盤沈下というより大きな環境問題の課題の前では後退せざるをえなくなるのも当然といわなければならないであろう。
2) 韓国の水事情
工業化を日本につづいて進めたのは韓国であるが、工業化のテンポが速かった70年代の結果が反映されている80年以降の用水の状況をみると、工業用水量は80年の717百万m3から約10年後の91年には2.289百万m3と約3倍化している。この間の工業生産の増加率は2.8倍となっているので若千ながら水多消費傾向がみられる。総用水に占める比率は80年の4.3%から9.4%へとかなり上昇しているが、日本の低下傾向とは対称的である。水多消費型産業の増産傾向が日本に比べ遥かに大きかったことを反映している。
また生活用水の伸びは、ほぼ同じ時期の日本に比べても大きく、都市化、生活水準の向上が大きい高度成長期にあったことを反映しているといえよう。
水資源開発の面の条件についてみると、この約20年間経済開発費は約30倍化しているが、水資源開発費は40倍強の増加となっている。年間降水量が1,159mmでアセアン諸国の2,600乃至2,010mmの約半分という条件の差に加え、大容量の河川に恵まれないという事情が水資源開発の負担増に迫られているという結果になっている。水資源開発費に占める多目的ダムの費用の比率が周辺諸国に比べて高いことも同じ条件を反映している。多目的ダムは後述するようにアセアン諸国でも80年代後半から増加がみられるようになったが、韓国の場合は、工業化の展開が、これらの国々に比べて早かったことも加わって、水資源開発費の増嵩を進めたといえるのである。