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に統計的気象データを加味し、アジアの基幹作物である水稲生育を考慮した気候区分を提案している2)。図2に示したこの気候区分には9区分(I〜IX)に分類され、?T,?U,?V,?W,?Yおよび?[の区分では天水田でさえも年1回の水稲作が可能であるが、?X,?Z,XIでは潅漑施設を伴わなければ水稲栽培は不可能であることを示している。

 

2) アジアの地形、地質と土壌

作物栽培にとって重要な因子である土壌資源の分布は気候と地形的な要因による母材との関連により理解される。気候面からは年中多湿な熱帯多雨林気候と長く強い乾期を持つ熱帯モンスーン気候、さらに高度1000m以上の地域に出現する湿潤熱帯気候である。母材からは火山由来の火山岩と火山灰、石灰岩、蒸発岩、デルタ堆積物、沿岸湿地堆積物、段丘堆積物等である。

フィリピンからインドネシアにかけて分布する火山由来の土壌は1000mを越えるような風化の緩やかな地域には日本のそれと同様な火山灰土壌が分布するが、低地になるほど強い風化を受け、赤褐色を示すラトソルに移行する。石灰岩を母材とする地域では土壌水分条件を反映し、モンモリロナイト粘土と石灰濃度との関連から、石灰の溶脱が卓越した地域では赤色のテラロッサとなり、溶脱が抑えられた地域では黒色のレンジナとなる。この結果、黒色と赤色を呈する土壌がモザイク状に分布する。大河川河口部には広大なデルタが存在し、上流内陸部より新鮮な土壌母材が供給される。デルタの中央部は沈降し、周辺部は山地の隆起により段丘地形が発達し、高位段丘には風化のより進行した厚いラテライトが形成され、中位段丘にはより薄いラテライトが生成される。さらに低位段丘には鉄、マンガンの結核を持つ土壌が存在する。デルタの先端部には汽水性堆積物が存在し、特殊な酸性硫酸塩土壌が存在する。コラート平原にはジュラ期から白亜期にかけて生成された蒸発岩が存在し、その最上部にはマハサラカム層と呼ばれる厚い岩塩層が砕石岩で被われている。地形的特徴によりその砕石岩より出来する塩により乾期には地表に塩が析出する。水深の浅いスンダ海に面した沿岸部にはデルタではなく低湿地に取り囲まれており、

 

 

 

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