(2)砕氷船傭船費及び船価の影響
図3.4.5に、1片道航海の砕氷船傭船費を1,500万円〜4,000万円の範囲に変化させたときの輸送トン当たりのコストの変化を、船価が従来船の100、125、150%のケースについてそれぞれ示した。なお、3.4.4節の採算評価の例では、計画船の船価は従来船の125%と想定しており、また3.4.2(5)2)で算定した砕氷船傭船費を1片道航海当たりに換算すると、2,674万円となっている。
図3.4.5の結果から、船価が25%増しのケースでは、砕氷船傭船費が12%下げられたとすれば輸送トン当たりのコストは3%削減され、従来船-SUEZ経由のコストと全く同じになる。これは船価を10%下げた場合と同等の効果となっている。
今回のSUEZ経由航路のケースで想定した50,000DWTタイプバルクキャリヤーの船価は近年のバルクキャリヤーのマーケットプライスを参考にしており、現実的な値と考えられる。計画船(氷海用バルクキャリヤー)の船価は、耐氷仕様や従来船と比べて大容量の主機を採用していることから現実的には上記船価の150%近いと考えられる。この船価を10%以上下げることは非常に困難である。しかしながら、砕氷船傭船費は今後の展開で商業ベースに下がることが十分に期待できる。今回の概算では、砕氷船傭船費が約17,000K\/片道航海まで下がれば50%増しの船価のケースでもSUEZ経由輸送に対抗できる競争力が得られると考えられた。