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波浪中航行性能

本船は、ロシア沿岸から離れた沖合いの北極海航路における航行を想定して計画・設計が行われている。従って、北極海域においては、夏期であっても氷海域がその主要な航行海域となる。しかしながら、沖合い航路の選定は、すなわちヨーロッパから我が国への直通航行を想定したものであり、この場合、氷海域前後の開水域における航行時間が全航海に占める割合もかなりのものとなろう。このような想定航行海域中、ベーリング海峡以南のベーリング海から北太平洋に至る海域は、低気圧の頻繁な来襲による荒天域として知られる。従って、本船には砕氷航行性能に加え、充分な耐航性も求められる。本研究では、本船の波浪中における基本的性能を把握するため、規則波・向かい波中における水槽実験を行うとともに、これに対応するストリップ法による計算を行った。

 

(1) 波浪中における運動特性

図3.3.19 に波浪中における水槽実験結果から heaving の計測結果をまとめた。

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また、図3.3.20 にこれに対応するストリップ法による計算結果を示す。図中、ZA及びζAは、それぞれ、heaving 振幅及び半波高である。波長の変化に対する heaving の挙動は、実験結果と計算結果ともに同様の傾向を示し、λ/Lpp=1近傍において振幅が低減する。ただし、計算ではこの領域がフルード数により変化するのに対し、実験結果では、波長の条件が計算ほど細かくないことにもより、この傾向は明瞭には認められない。しかしながら、heaving の卓越する長波長領域では実験結果と計算結果との一致は良い。

 

 

 

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