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参考資料4 汚染物質の排出抑制策、法的規制

 

(1) 化学物質・重金属

 

1) 化学物質に関する規制

人類がこれまでに作り出した化学物質は膨大な数にのぼり(1,000万種を越えたともいわれる)、さらに年々新しい化学物質が開発されている。これら化学物質は、様々な用途に有用性を持ち、現代生活のあらゆる面で利用されており、人類の生活の向上に多大な寄与をしている。その反面化学物質の中には、その製造、流通、使用、廃棄等の様々な段階で環境中に放出され、環境中での残留、食物連鎖による生物学的濃縮などを通じて、人の健康や生態系に有害な影響を及ぼすものがある。

化学物質の環境リスクの適切な管理(削減)を行うには、環境リスクを同定し出来るだけ定量的に評価することがまず必要である。この環境リスク評価は、化学物質の「有害性評価」(化学物質の人又は生態系に対する毒性を評価すること)と「暴露評価」(化学物質に人又は生態系がどの程度暴露されるかを評価すること)に基づいて行われる。

昭和48年の「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律」(以下「化学物質審査規制法」)の制定時の国会付帯決議により、既存化学物質(制定時に、現に業として製造又は輸入されていた化学物質で、既存化学物質リストに収載されているもの。約2万余。)については、国がその安全性の点検を行うこととされた。新規化学物質については、自然的作用により化学的変化を生じにくく(難分解性)、生物の体内に蓄積されやすく(高蓄積性)、かつ、継続的に摂取される場合には人の健康を損なうおそれ(慢性毒性)があるかどうかを、その製造前又輸入前に審査するとともに(新規化学物質の事前審査)、それらの性状をすべて有する化学物質を第一種特定化学物質として指定し、製造(輸入)・使用等の規制が行われるようになった。これまでに、新規化学物質については、5,879件(製造4,404件、輸入1,475件)の届出があり、4,679件(製造3,591件、輸入1,088件)の安全確認がなされている(平成7年12月末現在)。

一方、既存化学物質については、昭和48年の化学物質審査規制法制定時の国会の付帯決議により原則として国がその安全性の確認を行い、必要があれば、第一種特定化学物質等に指定するという仕組みがとられている。

このため、既存化学物質について、通商産業省は微生物等による分解性、魚介類への濃縮性を、厚生省は人への毒性を、環境庁は一般環境中での残留状況と生態影響を調査、点検している。そしてこれまでに、PCB、HCB、PCN、アルドリン、ディルドリン、エンドリン、DDT、クロルデン類、ビス(トリブチルスズ)オキシドの9物質が第一種特定化学物質に指定されている(平成8年12月末現在)。

また、トリクロロエチレン等の地下水汚染を契機として、昭和61年5月に同法が改正され、昭和62年4月から施行された。この改正により蓄積性は低いものの難分解性で、かつ慢性毒性の疑いのある化学物質を指定化学物質として指定し、製造及び輸入量の監視を行うこととなった。また、当該指定化学物質により環境の汚染により人の健康に係る被害を生ずるおそれがあると見込まれる場合には、製造等の事業者に対し有害性の調査の実施及び報告を指示し、有害性があると判定した場合には、第二種特定化学物質として指定

 

 

 

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