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5.5 ゴミや汚染物質による海洋汚染問題

 

(1) 問題点

海上にプラスチックのゴミがたくさん漂流している。図5-13は船の上から目視で数えられ、ある程度大きなものに限定された漂流するゴミの調査結果である。しかし、実際にはプラスチックの原材料であるレジン・ペレットと呼ばれるたいへんちいさな微少プラスチック粒子、発砲スチロールの破片、プラスチック製品の破片などが多数漂流していることがわかっている。これらは、分解しにくいため長期間にわたり漂流しつづけるだけでなく、半永久的に存在しつづける。プラスチック自身の毒性はほとんど報告されてないが、鳥類やウミガメなどの海洋生物が飲み込んで障害を起こしたり、漂流するゴミに絡み付かれて自由を失ったりする深刻なケースが報告されている。さらに、漁具・魚網、合成樹脂の釣り糸なども、鳥類にからまって死に至らしめることがある。

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(2) 現状

浮遊性廃棄物は、環境庁が実施する海洋環境保全調査においてプラスチック類等調査を実施している。平成7年度の調査においては、表層におけるプラスチック類等の分布個数は、東京湾、伊勢湾では湾口部が最も多く、大阪湾では、湾奥部が多くなっている。その組成を見ると、自然物、塊状の石油化学製品の占める割合が多くなっている(図5-14)。

海辺の埋没・漂流物調査検討会(富山県が提唱し日本海沿岸10県が協同調査)は、日本海側(秋田県〜山口県)を対象とした調査結果を「日本海沿岸海辺の埋没、漂着物調査報告書(平成9年3月)」として、とりまとめている。漂流物で最も多かったのは木、竹、藁類で45%を占め、海藻や枯れ葉(26%)、プラスチック・ビニール類(22%)が続いていた。プラスチック類等人工物の漂着量および海岸埋没量は、10県16海岸の平均で、14.93g/?および9.44g/?にもおよび、まさに「プラスチックの海」といわれる状態であることが明らかとなった。

 

 

 

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