赤潮とは、微少な藻類が著しく増殖し、水が赤褐色などの色になる現象をいう。主として窒素、リンなどの栄養塩類の流入による富栄養化が原因となっている。平成8年に我が国周辺海域において海上保安庁が確認した海洋汚染の発生件数は754件で、うち赤潮は 90 件(約 12 %)であった。
赤潮の発生は、しばしば魚介類の大量死をもたらすが、日本でも瀬戸内海をはじめとして被害金額が数十億円に達するような赤潮の発生も報告されている。主として海域で発生するが、湖沼などでも同じような減少が起こることがあり、淡水赤潮と呼ばれている。
青潮は、富栄養化によるプランクトンの大量発生などを原因として底層に貧酸素水塊ができ、それが風などによって岸近くの水の方面に移動し、青色ないし白濁色を呈する現象である。東京湾などで発生がみられており、アサリが死滅するなどの被害も報告されている。
これらの問題の原因物質である窒素やリンは、もともと自然界に存在し様々な環境圏を循環している物質である(図5-9)。窒素は様々な化学形態で、大陸圏、大気圏、水圏を循環している。一方、リンは大気圏にはほとんど存在せず、大陸圏から水圏へと一方的な移動しか起こらないことに注意が必要である。従って、これらの物質を適度な量に抑えるには、このような物質の流れを考慮し、窒素については様々な経路で様々な化学形態として固定することも可能であるが、リンについては河川を通しての流出を制御することが重要と考えられる。