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2.3 温暖化問題と対策の概要

 

気候温暖化の影響は、人間のみならず地球上の動植物にも今後大きな被害を与えると予測され、早急な対策が必要になると考えられる。

現在地球大気中の炭酸ガス濃度は年 1.5 〜 2 ppm のペースで確実に上昇を続けており、このことは地球温暖化要因として人類の将来に対する不安材料となっている(図 2-6)。この大気中炭酸ガス濃度上昇の原因としては、石油などの化石燃料の燃焼、森林破壊等が考えられている。

地球温暖化について協議する国際的な専門組織「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)は 1995 年12月、21 世紀末には地球の気温が 2 ℃上昇すると予測し、「大幅なCO2 の固定化、貯蔵が必要」と訴える報告書をまとめた。

日本は気候変動枠組み条約第3回締約国会議(COP3;京都会議)により、2010年頃のCO2 排出量を 1990 年比 6 % 減を達成することになっている。環境庁の試算では、2000 年の CO2 排出量は 1990 年より 3.1 % 増加するとしており、CO2 の吸収、固定化について、実用化に対する期待がふくらんでいる。 

発生したCO2の地球規模での蓄積とサイクルメカニズムの解明や、発生源の探索、CO2 の発生量の推計、発生源別の CO2 の削減方策の検討、CO2 の固定化についての研究開発等が行われている。排出された CO2 のかなりの部分が海洋に吸収され、海底に蓄積しているとも考えられている(表2-2、図2-7、2-8)。

我が国の1990年度の排出総量は318百万トン(炭素換算)であり、運輸部門は56.2百万トン(17.7%)である(表 2-3)。内、海運の排出量は3.8百万トン(運輸統計ベース)であり、運輸部門の 6.7 %、全体の1.2 % である。

ちなみに海運の主な燃料は舶用C重油である。国際海事機関(International Maritime Organization, IMO)においてNOxの排出量および燃料油に含まれる硫黄分の規制が、1997年9月に採択されているなど大気汚染防止策が検討されている。

 

地球温暖化対策は、温室効果の主因ガスである二酸化炭素の増加の抑制であるが、その方法には二酸化炭素を必要以上に放出しないようにする方法と、すでに過剰に存在している二酸化炭素を積極的に固定化・除去する方法がある。海洋関係では、前者には海洋の自然エネルギーを利用する方法があり、後者には化学的な固定法、物理的な固定法、そして、生物を利用した固定法がある。これらの方法、特に後者の方法を実行するためには、自然状態の海洋は炭素循環の中でどのような役割を果たしているのか理解する必要がある。

 

 

 

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