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2.4 NH3選択還元反応法

 

大型ボイラーの排ガスはNOx濃度が数百ppm程度であるのに対し、残存酸素濃度は数%である。このことが通常の還元剤(CO、H2など)を用いたNOxの還元を困難にしている。すなわち、これらの還元剤はNOxよりむしろ酸素と優先的に反応してしまうため、無駄に消費される部分がかなり大きい。その意味で、先述したガソリンエンジンの三元触媒を用いる方法は非選択還元といわれる。これに対して、NH3は大過剰の酸素共存下でもNOと選択的に反応し、酸素の共存により反応速度は大きくなる。その意味で、NH3によるNOの還元は選択的還元といわれる(図2-9)。

NH3によるNOxの還元には主にV2O5-TiO2系触媒が使用されている。V2O5-TiO2系触媒の特徴として、(1)低温での高いNOx還元活性、(2)耐SOx性、(3)比較的低いNH3分解活性等が挙げられる。

反応の化学量論式は(2-7)式で示されることが、多くの研究から明らかとなっている[25〜27]。

NO + NH3 + 1/4 O2 → N2 + 3/2 H2O (2-7)

N2はNO,NH3それぞれのN原子から生成し[28]、多くのN2生成速度に対する分圧依存性の研究[26、27、29、30]では、 NO分圧依存性は1次、NH3分圧依存性は0次、O2分圧依存性は0次に近く、SO2、H2Oなどの分圧依存性は小さいが負であることが明らかになっている。O2圧依存性は速度式でみるかぎり小さいが、これは酸素の有無に無関係というわけではない。むしろ数十〜数百ppmのO2では著しい反応促進効果を有するが、ある濃度以上ではその効果は飽和する。表面に吸着したO2が直接反応物として素過程に関与していることについては多くの証拠がある。図 2-10 はその一例である[30]。定常状態を達成した後、O2の供給を停止すると、表面酸素が消費されていき、それに伴ってNO-NH3反応速度は指数関数的に低下する。

反応機構は触媒系によって異なる。例えばV2O5系触媒については表面の活性酸素の再生が速いことがその一因と考えることができる[28]。酸素濃度に対するN2の生成速度とIRにより求めたV5+=O量が対応していること、またV4+量は全く逆の挙動を示すことから、活性酸素種はV4+が気相O2またはbulkのV5+=Oによ

 

 

 

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