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2.3 三元触媒法

 

ガソリン自動車に用いられている三元触媒法とは、排ガス中の炭化水(HC)、CO、NOxの三成分を同時に除去するシステムである。触媒は貴金属主体で、Pt/Rhが主流で一部Pd/RhまたはPt/Pd/Rhが使われている。Rhは少量で三成分浄化に高い活性を示し、特にNOx浄化性能に優れているため、三元触媒において不可欠の構成元素となってきた。RhだけではHC除去活性が十分でないことからPt、Pdが組み合わされている。PtとPdでは三成分とも浄化率ではPdのほうが優れるが、使用されるのはほとんどPtである。その理由としてPdは、(1)Pb、S等の被毒に弱い、(2)加速時の空燃比が還元雰囲気に設定されているため、シンタリングしやすい、(3)Rhとの合金によりRhの活性を低下させるなどである。三元触媒は、(2-2)〜(2-5)式の酸化還元反応を進行させ、空燃比が化学量論混合比付近になる範囲内(ウィンドウ)(図2-5)でのみ還元剤と酸化剤が当量となり、HC、CO、NOxが高効率で除去できる。

HC + NO → N2 + CO2 + H2O (2-2)

CO + NO → N2 + CO2      (2-3)

HC + O2 → CO2 + H2O     (2-4)

CO + O2 → CO2          (2-5)

酸素が過剰になると酸化剤であるNOxの 転化率は急激に低下し、逆に燃料過剰条件では還元剤であるHC、COの転化率が低下する。このために空燃比を化学量論混合比前後の狭い範囲に調節するため、酸素センサーと燃料噴射制御装置を組合わせたフィードバックシステムが採用されており[18]、実際には燃料のリーン域とリッチ域を激しく往復しながら理論空燃比を維持している。

助触媒としてはCeO2が最も広く使用されている[19]。CeO2は貴金属と併用することにより酸素吸蔵物質として働き[20]、酸化剤・還元剤比を安定化して三元触媒系の基本である酸化還元反応をの進行をスムーズにする。また燃料過剰条件下では水性ガスシフト反応

CO + H2O → CO2 + H2        (2-6)

によりNOx還元反応に最も有効なH2を供給 する[21]、担体であるγ-Al2O3の相転移による表面積の低下を防ぐ[22]等の効果がある。

 

 

 

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