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2 排煙脱硝技術

 

2.1 はじめに

 

窒素酸化物についての研究が進むにつれ、種々のことが明らかとなってきているが、その除去対策について今後に残された課題はまだ多い。窒素酸化物の除去技術には、大別して、生成抑制技術としての燃料改善、燃焼改善と後処理技術としての排煙脱硝技術がある。

燃料改善は、燃料中の窒素分を低減することでFuel NOxを減少させる方法である。しかし、燃料を成因とするNOx量はわずかであり、また脱窒素分の技術は十分に確率されていない。現在のところ、原油中の硫黄、金属を除去する目的で、脱硫、精製、分解等各種のプロセスが開発されており、その過程で窒素分も除去されている。一方、燃焼改善は燃焼条件をできるだけNOxが生成しにくいようにするための技術である。主な燃焼改善技術を表 2-1に示す[1]。また、これらの技術のほかに、ガスタービンとボイラー内でのThermal NOxの減少に触媒燃焼が提案されている。触媒燃焼は従来の燃焼器では燃焼が困難だった希薄な予混合気体にも適用でき、触媒表面での酸化燃焼反応の手助けでThermal NOxの発生量の少ない低温での燃焼が維持できる。この方面の研究は現在精力的に実施されており、高表面積担体などが開発されつつある。

排煙脱硝技術には大別して湿式法と乾式法があり、図 2-1のように分類される。このうち現在実用化されているのは、NH3による選択還元法と三元触媒による非選択還元法である。前者は工場のボイラー等の固定発生源で、後者は自動車エンジンで使用されている。ここでは、特にこれらの接触除去法について、開発状況や問題点などを概説する。

 

 

 

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