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1.2.2 二酸化窒素(NO2)

 

二酸化窒素ガスは可視領域波長の光を吸収するため、比較的低濃度から高濃度にわたって、黄橙色から赤褐色までの特徴的な色を呈する。二酸化窒素は強い刺激臭があり、酸化速度が大きく、腐食性に富んでいる。また、水と反応して硝酸および亜硝酸を生じる。二酸化窒素は太陽光下で光分解しやすく、光化学スモッグで最も問題となるオゾンを以下のように生成する[6]。430nm以下の太陽光の光量子がNO2に吸収されると励起し、基底状態の酸素原子とNOに分解する。

NO2 + hν→ O(3P) + NO            (1-4)

酸素原子は大気中でO2と反応してオゾンを生じる。

O(3P) + O2 (+ M) → O3 (+ M)          (1-5)

ここで Mは第三の分子種を表し、酸素原子がO2と反応する際に放出するときのエネルギ-の一部を取り去る役目をする。二酸化窒素からオゾンの生成される濃度関係については、秋元ら[7]により(1-6)式が導かれている。

[O3]max = k'[O3]ps

= k [NO2]01/2     (1-6)

cf) [C3H6] / [NOx] > 3

ここで[O3]maxはO3の最大濃度、[O3]psは炭化水素が存在しない場合の光定常状態のO3濃度、[NO2]0はNO2の初濃度である。このことは、O3濃度はNO2濃度に支配され、炭化水素の影響は受けないことを示唆している。

 

 

 

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