?設備
MARINTEKには、流体力学実験施設の中に曳航水槽3基、運動水槽1基 、キャビテーションタンク1基が設置されている。
曳航水槽の?、?、?は、(長さ、幅、深さ)がそれぞれ(175m、10.5m、5.6m)(25m、2.8m、1.0m)(85m、10.5m、10m)となっている。なお、?と?は連結して使えることができる。
運動水槽は、長さ80m、幅50m、深さ0〜10mで、最大流速は、深さ5mの時で0.2m/s、深さ7.5mの時で0.15m/sである。また、長さ方向の造波装置はマルチフラップ型、幅方向の造波装置はダブルフラップ型である。
キャビテーションタンクは、センターラインの高さが10m、同じく幅が22.22m、動作部の直径が1.2m、同じく長さが2.08m、最大流速が18m/s、最大プロペラ回転数が3,000RPM等となっている。
なお、運動水槽に関しては、オフショア設備の実験ニーズから水深33mの施設を建設する計画がある。このくらいの深さにすると水深3,000mまでの計算をするためのデータを取ることができる。ただし、80億円以上もする施設となるので、国から予算を取るのではなく、海外も含めた石油会社等から資金を集めるような形にしたいということである。
?研究開発マネジメント
MARINTEKでは、Division ごとに予算を決めている。前述したように利益目標は5%であるが、個人ベースではこのような管理はしていない。
Division は約50人から成るが、グループに分けて目標管理をしている。グループリーダは、プロジェクトの探索、フォローアップ、顧客との関係等に関する責任があり、また予算目標を達成できるかどうかの責任も持たされている。
グループの下に小グループもあるが、このレベルでは品質保証システムとプロジェクト品質監査システムが適用され、各プロジェクトがプロジェクト・マニュアルに沿って進められているかどうか、また所定の品質を満たしているかどうかがチェックされる。
3)大学との関係
1996年に、ノルウェー工科大学がノルウェー科学技術大学に改変されたのにともない、海洋工学に関する教育と研究が、海洋技術センターという独立組織の中で行われれるようになった。これにより、MARINTEKとの関係もより緊密になっている。
SINTEFグループは、ノルウェー科学技術大学から毎年約200人を、主にシニアエンジニアとして採用するが、それとほぼ同じ数の研究者が毎年産業界に出ていく。これは、企業からの受託研究がきっかけになることが多い。ただし、逆に新しい受託研究を持ってSINTEFに戻ってくるケースもかなりある。このような人材のローテーションを通して、新しい空気を入れているといってもよい。
ノルウェーの場合、船舶・海洋関連に携わっている理工系の人は、ほとんどがノルウェー工科大学出身者なので、その人達のネットワークは非常に強いと考えられる。産学官の共同プロジェクトが比較的容易に成立するのも、その辺のネットワークが背景にあるといえるかもしれない。ただし、石油関連については他の大学でも卒業できるようになっているため、オフショア分野では様子が異なってくるかもしれないとのことである。