(4)ドイツ
1)造船関連産業の特徴
ドイツの造船産業等に関するデータを表5-1-7に示す。
表5-1-7 ドイツの造船産業関連データ
[造船関連]
・新造船受注量(1995年):131隻 1,641,000G/T(世界シェア:6.4%)
・新造船竣工量(1995年):76隻 969,000G/T(4.8%)
・新造船手持工事量(1996年3月末):145隻 2,336,000G/T(5.0%)
・舶用機器全生産高のうち60%が輸出で、内訳は西欧が14%、アジアが27%(日本10%、韓国10%、その他7%)、アメリカが12%、東欧が7%となっている。
[その他]
・GDP(1995年、10億US$):2,415(10.4%:対OECD加盟国GDP合計比)
(出所:各種資料よりMRI作成)
ドイツの造船産業の規模は、建造量ベースでは、欧州第1位、世界第3位という位置付けである。1996年に、ドイツ最大の造船所であるブレーマフルカンが倒産したが、これはドイツ統合後、旧東ドイツの造船所等を強引にグループに加えようとした無理と、政府からの統合援助資金の管理のまずさが招いたとも言われている。
大手造船所は、一般商船以外では、カリブ海船社の大型客船建造ブームに依存している部分があったが、そろそろ需要が頭打ちになりつつある。
一方舶用工業は、世界の10%以上の生産高を確保している。舶用機器メーカの80%は従業員200人以下の中小企業であり、また大手企業は舶用の比率が落ちている。
ドイツにおける特徴的な造船関連機関・企業を表5-1-8に示す。
2)研究開発体制・事例
ドイツにおける共同研究開発は、BMFTの資金援助によるプロジェクトが中心であるため、実施主体としては国内企業と大学、及び国営の試験水槽で構成されることが多い。
最近の「非在来型高速船プロジェクト」では、ドイツ造船産業研究センターのリーダーシップのもと、国内の試験水槽、研究所、造船所等との緊密な連携のもとで研究開発が進められている。
国際的な共同研究としては、ECからの資金援助のプロジェクトやカナダとの共同プロジェクト等がある。
以下に、特徴的な共同研究開発プロジェクトの事例を示す。
・「Ship of the Future」計画
このプロジェクトは、旧西ドイツの造船業・舶用工業の競争力向上を目的として、
BMFTの資金援助により1980年から85年まで実施されたもので、船舶関連では最初の大型 国家プロジェクトであり、その後の新規共同研究プロジェクトの模範となっている。
参加した企業、大学、研究所は全部で50にも達し、テーマとしてはエネルギーコスト削減、救助機器の標準化、航海機器システム、蒸気タービン等が含まれる。