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(e) 選定方式の溶接線傾斜角度に対する実用溶接条件選定

小型試験片を傾斜させて溶接実験を行い、本施工法にて対応可能な最大傾斜角度と適正溶接条件の選定を行った。なお、当社造船工場の曲がりブロック製造ラインの適用対象ブロックを調査した結果、最大傾斜角度は約20度であったため、本溶接ロボットの開発目標は最大20度とした。

傾斜角度別適正溶接条件を実験により大まかに求めた結果を表1.3に示す。上進傾斜溶接では傾斜角度の増加に伴い、先行電極による裏ビード幅が増加し、やがて溶接金属の溶け落ちが発生する。したがって上進傾斜溶接では傾斜角に応じて溶接電流を適切に減少させる必要がある。傾斜角度別適正溶接条件の選定においては、まず実験により先行電極の溶接電流を裏ビード幅が一定となるように求めた。その結果、先行電極の適正溶接電流は水平姿勢では450Aであるのに対して、上進10度では400A、上進20度では350Aとなった。溶接速度は先行電極の溶着断面積(単位溶接長さ当たりのワイヤ溶着量)が水平姿勢の標準条件とほぼ一定となるように求め、後行電極の溶接電流は後行の溶着断面積が一定となるように逆算した。

 

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水平および上進傾斜10度、20度の3姿勢における溶接条件とビード形状の一例を図1.11に示す。この結果より、本溶接プロセスでは上進傾斜20度においても良好な溶接ビードが得られる見通しを得た。

 

 

 

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