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(2) 曲がり外板付き骨部材の溶接

骨部材の隅肉溶接に於ける水平下向き姿勢溶接部の溶接法は各社とも簡易自動溶接と手溶接が主流である。一方、立て向姿勢溶接部は全て手溶接で行っている。曲がりブロックの溶接部の状況は平行部に比べて部材倒れ(±45度)、溶接部のギャップ(Max.5mm)、溶接線の傾斜(±45度)でありこれらの変化が悪条件として加わるため単一溶接条件式の簡易自動溶接機では適用範囲が狭く自由に対応出来る手溶接が主流になっている。

又、溶接装置のブロック内移動方法は人による移動が主体であるがブロックの上部に吊下げて移動する装置が普及してきている。現状の自動溶接に対して各社は「適用が困難であり能率、品質面で効果が低い」の問題をもっている。これは溶接部の「傾斜、捩じれ、精度不良」に対する溶接条件が限られており、現状溶接機に対応させるには装置が「複雑、ハンドリングが困難」になる事が原因である。各社の理想の溶接法をまとめると「センシング機能を有し、マルチアーク化が可能、経済的な溶接ロボットによる全自動溶接」である。これに対して各社とも理想に向けた検討を行っている現状である。

 

4. まとめ

 

曲がり部ブロック大組立は平行部より作業量は少ないが作業人員は多く能率は約半分である。これは造船に於ける曲がり部ブロック大組立の自動化が全く進んでいない状況にある。よって曲がり部の自動化はよりいっそうの造船コストダウンを要求される現状、今後の重要課題であるといえる。これらの内、開発により即戦力となる溶接の自動化について各社の理想は以下の様にまとまる。

? 曲がり外板の板継ぎ溶接:*開先状況に追従出来る自動開先倣い

(ギャップMax.5mm、溶接線のずれ)

*傾斜条件への自動対応

(傾斜角Max.30度、前後左右)

*面内仮付溶接

(仮付溶接ビードの影響が無い)

*レール無しで走行

? 曲がり外板付骨部材溶接:*溶接部のセンシング機能

(ギャップMax.5mm、傾斜角±45度、溶接線のずれ)

*マルチ溶接化

(多トーチ同時溶接、高能率)

*経済的な溶接ロボット

(安価な装置化、汎用ロボット利用)

*全自動溶接

(人の介在少、産業ロボットの安全面)

尚、アンケート結果による各社の考え方は本研究開発計画とほぼ一致しており研究開発の方向性に誤りが無いことを確認出来た。

 

 

 

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