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は じ め に

 

激化する国際間の新造船受注競争の中で、21世紀に向けて我が国造船業を魅力ある近代産業に変革する施策の一つとして、受注から引渡しに至る全ての工程をコンピュータネットワークで統合する造船業CIMの構築が進められております。構築に当たっては、CIM情報を製造とオンライン化する工場内の自動化(Factory Automation:FA)が不可欠でありますが、現在、船体ブロック部の大組立工程において、平行部ブロックでは溶接部が単純構造であるため溶接の自動化が進んでいるのに対し、3次元曲がり部ブロックでは溶接部が傾斜、曲面になる複雑構造であるため、今日においても溶接士の「経験と勘」に頼った作業が多く、自動化の難所としてその解決が望まれております。

当財団では競艇公益資金による日本財団の補助事業として、平成8年度から2ケ年計画でこの3次元に曲がった船体ブロックの大組立工程を自動化するために必要な溶接士の技量、ノウハウといった部分をコンピュータ制御によるロボットで行う研究開発を進めて参りました。

この度、2年間にわたる研究開発を終え、3次元曲がり部大組立工程の自動化に必要とされるシーム溶接及び隅肉溶接を自動化するロボットの完成にあたり、造船技術・造船関連技術の発展の一助となればと思い、これまでの研究開発の内容を報告書にとりまとめることと致しました。

本事業の実施にあたりまして、日本鋼管(株)津製作所船殻プロセス部長の石川委員長並びに清水前委員長をはじめとする「3次元曲がり部大組立自動化システムの研究委員会」の委員の皆様の熱心なご検討、ご協力を頂きましたことをこの紙上をお借りしまして心より感謝申し上げる次第でございます。

平成10年3月

財団法人 シップ・アンド・オーシャン財団

会  長  今 市 憲 作

 

 

 

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