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*水は以上の段階を通過するまでに完全に浄化され、溶存栄養物はほとんど無くなる。水がきれいに澄んでいるこの状態で紫外線殺菌装置を使うのが効果的である。オゾンを含んだ水は紫外線殺菌装置を通過すると紫外線を吸収してO2とO(酸素の遊離基;フリーラジカル)に分解される。このプロセスによってオゾンの酸化機能をより高め、魚に影響するオゾン自体を減らすことができる。紫外線殺菌装置をオゾン装置の直後に置くのは、この意味からも合理的である。

*各工程の浄化機能からその管理情報に至るすべてのデータを正確に把握し、全体システムをバランス良く運用することは極めて重要である。モニターシステムとコントロールシステムを合成した中央制御装置により、魚の成育に好ましい水質レベルを維持することも必要である。

 

ドイツのフィッシュテクニクス社がウナギ養殖用として循環式陸上システムを開発したが、その内容は以下の通りである。

*養殖水槽は稚魚用に2タイプ、成魚用には25m3タイプの物を使用。

*機械フィルターとしては50ミクロメッシュのマイクロスクリーン・ディスクフィルターを使用。

*バイオフィルターには独自に開発したBFR(バイオフィルム・リアクター)と流動床フィルターを使用。流動床は1m3のフィルター容積の中に2400m2の活性表面積を持つ特別な粒子で満たされている。自動洗浄機構を持ち連続運転を妨げることはない。

BFRは点滴システムで、水はフィルター容積1m3当たり200m2以上の滑らかな表面を持つ柔軟なフォイル材を辿って空気に晒されながら流下する。この工程で同時にCO2、硫化水素そして窒素が除去される。

*バイオフィルターを通過した水は酸素加給、加熱さらにPH調整を行った後、養殖水槽に戻される。酸素加給も同社が開発した純酸素システム(オキシトラン)が使われている。1時間に10kgの有効酸素が0.2bar以下のレベルで伝搬され、その効率は80%を超える。

*給餌装置としては給餌量を必要時間に±1gの精度で制御するロボットが使われている。給餌を含むすべての養殖管理項目は同社が開発した複合養殖管理システムによって管理され、実行データは常時フローチャートの上に表示され、異常値はすぐ警報されて自動的に対策が講じられる。

 

 

 

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