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ヒラメ (Paralithys olivaceus)

Bastard halibut

 

生産量

天然ものは1986年の8,357トンをピークに最近は6,000トン台を低迷している。

養殖ものは1984年の800トンから急上昇し、1990年には天然ものを逆転した。1994年は約7,000トン前後を推移している。そのうち、海面養殖のピークは1992年の1,233万尾であったが、リスクが大きく1995年には660万尾に半減している。養殖発展の原因には、人工孵化の成功と、その成魚からの採卵・孵化が可能となり、大量の安定した種苗の供給が可能となったことがあげられる。

 

養殖の現状

日本におけるヒラメの養殖には、海中での網生け簀方式と、陸上水槽での掛け流し方式があるが、網生け簀方式では夏期の高水温時の斃死や、網ズレによる病気が多く、最近はほとんどが掛け流し方式に転換している。したがって、ここでは掛け流し方式による養殖の状況について触れる。

?九州地区におけるヒラメ陸上掛け流し養殖の一般例

生産量 130トン/年、出荷尾数16万尾、平均体重800g(600gから出荷開始し、1.3kgまで)

水槽 コンクリートブロックまたはコンパネシート張り水槽。水槽総面積3,900?

吸水 海水を数十〜数百メートル沖合の水深数メートルから取水し、塩ビ管を通してポンプアップ。換水率は15〜20回/日。

水温 13〜25℃と年間変動あり。地下水併用で水温調節をしているところもある。

飼育 12〜3月 種苗導入(サイズ5〜8cm、体重1.5〜8g)、密度800尾/?(1.2kg/?)

5〜6月 分養(サイズ15cm、体重60g)、密度95尾/?(5.7kg/?)

分養は飼育密度を目安に数回綴り返すが、密度基準は漁家によりまちまちである。一例として、下記の基準をあげる。

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11月〜 出荷開始(サイズ37〜38cm、体重600g)

翌年9月 出荷終了

餌 10cmサイズまでは浮上型のEP、その後は生餌という方式が主流であったが、最近は一貫してDP)あるいはEP〕等の配合飼料を使用するところが増えている。餌料効率は約30%

生残率 80%〜90%

 

 

 

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