1969年 COD負荷量は1,900トン/日と1962年の925トン/日から比べて7年間で倍増(中国地方経済連合会調査)
この頃、瀬戸内海への屎尿投棄量は約105万トン(水産庁、1972)
1970-1972年 Chattonella赤潮発生。ハマチ等の養殖魚に多大な被害。
1970-1975年 油汚濁事故多発。油臭魚の出現や重金属汚染によるとされた骨曲がり等の異常魚が社会問題化。
1974年 岡山県水島コンビナートの石油タンク破損による重油約8,000キロリットル流出事故で、ノリ、ワカメ、ハマチ等の養殖に約160億円の被害。
(1)-ロ.瀬戸内海の水質の富栄養化の状況
瀬戸内海においては、まだまだ有機汚濁が存在している。平成5年(1993年)の各灘の平均値は,CODl.6mg/1,全窒素0.27mg/1,全リン0.027mg/1であり、水産にかかわる海域の水質基準値はかろうじてクリアーしている。しかし、環境庁が1984から1987年に行った調査結果によると、表層での全窒素量は、大阪湾の奥部で平均0.6mg/1以上に、広島湾の湾奥部でも0.3mg/1以上に達しており、湾の奥部や央部の水質が悪化していることがわかる。また、水産庁が1982年から1986年に行った夏季における底層での溶存酸素量の測定結果によると、D02mg/1以下の貧酸素水域が大阪湾と別府湾の奥部および姫路沖の3ヶ所にみられた。
山口大学の関根等のモデル計算によると、大阪湾における1981〜1988年の平均的な溶存酸素濃度観測値は、表層では6〜10mg/1、底層では、夏季で2〜血g/1,冬季で9mg/1以上である。底生生物(ベントス)は溶存酸素濃度3.6mg/1以下で影響を受け、1mg/1程度が致死限界、また魚類では4〜5mg/1で影響を受け、2〜3mg/1が致死限界と考えられている。これから判断すると、表層では溶存酸素濃度が生物に影響することはほとんど無いと考えられるが、大阪湾底層では栄養塩負荷量の変動に応じて致死限界に達する貧酸素状態が発生する時期があることがわかる。