4.5 工作FL共通機能の拡充
工作要領に関する業務は、初期のブロック分割から製造分野の作業指示書に至るまで多岐にわたっている。それで、全体業務の中の位置付け、生産性への依存度の観点から、ブロック分割と工程設計のシステム化に注力することとした。
ブロック分割の業務は、機能設計された製品情報を工場でどのように製造するかを検討する業務、すなわち初期の生産設計であるので、本開発研究では「初期生産設計」と呼ぶことにする。
以下、初期生産設計と工程設計に大分して記述する。
4.5.1 初期生産設計
(1) あるべき業務形態と機能要件
初期生産設計は、造船所の設備制約や施工方針に基づいて船体構造をいくつかのブロックに分割し、各ブロックの施工の容易性、所要工数、安全性や、工場設備(装置、施工場所)、操業の負荷分担(配員、外注)を検討し、最適な(基本的にはコストミニマム)生産方式を決定する業務である。
また、初期生産設計で検討されたブロック分割案は初期設計にフィードバックされ、構造様式、機器配置、配管配置等に反映される。そして、設計と製造双方の協議を経て、最終的なブロック分割が決定される。
(a) 設計意図の継承
上述のように初期生産設計と初期設計フェーズは密接な関連を持ち、また、何回も試行錯誤が繰り返される業務である。このため、意志決定の背景にある意図を常に維持、継承して、モデルの変更が簡単にできることが重要である。それで、以下の機能要件を満足することが必要となる。
・ブロック分割面と部材等関連するモデル同士の相対位置が記述されており、モデルの修正を容易にできること
・モデル上の継手線や変数にメモ情報を付けるなどして、後からモデル変更の意図が参照できること
(b) 評価業務の支援
初期生産設計の評価指標には、定量的評価と定性的評価が混在し、従来は人間系で総合的な評価がなされていたが、これをいかにシステム支援するかが重要である。このため、以下の機能要件を満たすことが必要となる。
・複数のブロック分割案をシミュレートし、各々の評価指標がGUI、3次元アニメーションなどを駆使して一目で把握できること