究では実船の船殻構造を、実用レベルで表現するために最低限必要と考えられる構造に限定し、以下の構造を詳細構造パターンクラスとして表現することとする。
・Section Member(骨)
断面形状 ウェブ端部形状 フェース端部形状
テーパー形状 棚板形状 スロットとカラー形状
スカラップ 穴 端部ブラケット
・Plate Member(板)
スロットとカラー形状 スカラップ 穴 トリッピングブラケット
・Face Member(フェース)
フェース断面形状 フェース取付タイプ 端部形状 テーパー形状
・Pillar Member(ピラー)
断面形状 端部形状 パッド リブ
(3) 標準パターンの制定
前項で抽出した詳細構造パターンクラスに対して、標準的な船殻構造を表現するうえで一般的と考えられるパターンを、「船殻詳細構造標準パターン」として制定することにした。各社ごとに様々な詳細構造があるため、開発専任チームが船殻詳細構造標準パターン案を作成し、各社にアンケートを実施して標準と思われる詳細構造を抽出した。アンケートは、各社に標準パターン案についてコメントを付けてもらい、更に追加要望も出してもらうという形で行った。アンケート結果を図4.3-8に示す。1次案に対してはパラメータ追加などを含めると71%が7社共通パターンとして集約され、4社共通パターン(過半数が賛成)まで含めると1次案の98%が承認された。一方追加要望としては、スロットとカラー形状及びトリッピングブラケットについて多かった。これらは複数社の要望を一つのパターンに集約できるものが少なく、各社の優先度の高いものを対象に標準パターンへの追加を行った。標準パターンの例を図4.3-9に示す。各パターンのパラメータは設計者の意図が表現され、かつ冗長性がないように決定した。このため、同一形状でもパラメータの押さえ方が異なり、パラメータの値を換算してしまうと周囲の状況変化によって異なる形状になってしまうことがある場合は、別パターンとして定義する。最終的なパターン数は表4.3-2に示すような結果となった。本パターンクラスは拡張を前提としており、標準パターンに漏れた各社固有の詳細構造については独自に追加拡張していくこととなる。