施工法が変更になった場合、部材や部品の形状を決めるための前提条件となっていた施工法と部材や部品の形状との間に不整合が発生しても関知することができない。このようなことが起こらないようにするため、施工法変更の影響を設計情報に伝えられるようなモデルとなっていることが望まれる。
4.2.4 柔軟性向上のための拡張の概要
(1) 拡張に当たっての方針
求められる柔軟性を実現するための方法を検討した結果、GPME FL設計時の方針や考え方をできるだけ踏襲し、基本的には作り直しではなく拡張によって必要な機能を実現できることが確認できた。具体的には以下のような拡張方法を基本とする。
・既存のクラスはそのまま利用し、必要に応じて属性、関係、関数を追加する
・既存のクラスのサブクラスの追加で対応できるものは、サブクラスとして実現する
(2) 拡張内容
(a) 相対定義の導入
設計変更に対して柔軟に対応できるようにするため、定義する対象の位置や形状を他の情報を基準にして相対的に定義できるようにする。これによって、基準となっている情報の位置や形状の変更に対して追従させることが可能となる。
相対定義については造船所でのニーズ調査などを実施した結果、以下の対象について導入することとした。
・フリーエッジとループドエッジ
・条部材取付線
・継手
・ブロック分割面と分割線
・構造詳細パターンの基準位置
これらの対象についての位置や形状を、基準となる他の板部材のフリーエッジとループドエッジ、条部材の取付線と端部位置、継手、ブロック分割面と分割線、更に部材間の接合線などからの相対的な定義で表現できるようにする。
図4.2-4に示すように、ロンジの頭から他のスティフナに平行に伸びたスティフナがあるとする。この「ロンジの頭から出ている」ということと「他のスティフナに平行」という2つの相対的な定義を保持し、この情報に基づいて計算するような仕組みとしておくことによって、基準となるロンジの位置や角度が変わったとしても相対定義に合った形で、スティフナの取付線が再計算される。