4.2 構造設計FLの柔軟性向上
4.2.1 構造設計FLの拡張の方向
GPME FLは組立産業汎用性を目指したものであり、造船だけをターゲットとしたものではない。GPME FLには造船向けに拡張したFLであるEFL/Sがあるが、これはGPME用のサンプルアプリケーションが動くレベルをめどに造船用に拡張したものであって、そのまま実用に使えるものを目指したものではない。従って、造船業においてGPME FLをベースとしたPMを実用化するためには、FLを更に造船向けに拡張する必要がある。
一般的に、システムを拡張する場合の拡張の方向としては、使い易さや機能の向上を目指す方向と、システムが対象として扱える範囲を広げる方向の2つが考えられる。本開発研究においても次の2つの方向に分けて拡張要件の検討を行った。
・深さ方向の拡張(構築と操作機能の向上)
・幅方向の拡張(表現能力の拡張)
「深さ方向の拡張」は区画壁や設計部材のデータ表現そのものを主な拡張対象とし、船舶の主要な構造を容易にかつ柔軟に構築し操作できるようにするなど、モデルの質的な高度化を目指す。「幅方向の拡張」は既存CADが表現している詳細構造を表現可能にするなど、モデルのカバー範囲の拡大を目指すものであり、これらの関係を模式的に表したのが図4.2-1である。
なお、4.2では「深さ方向の拡張」について、4.3では「幅方向の拡張」について述べる。