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4.1.2 船位誘導機能

(1) 船位誘導機能の概要

電子海図上で通過すべき位置(変針点、以降Way Point:WPと称す)の設定と変更ができる。(トラックボールによるポインティング操作) 複数のWPによって航行経路を設定することができ、その経路に沿ったトラッキング航行が可能となる。この機能により操船者は意志決定(操舵のタイミングの決定)作業から解放し、かかる負担を軽減させることを目的とした。

航行経路トラッキングのための制御アルゴリズムは、現在位置と航行予定の経路との差(航路誤差、XTE:クロストラックエラー)に比例した修正針路角を求め、オートパイロットに対し指令方位を出力する。指令方位に対して船首方位を追従させる舵制御は従来通りのオートパイロットが行う。したがって、船位誘導機能は独立した機能ではなく、従来のオートパイロット前提として、人間(操船者)に変わってオートパイロットへの針路指示を出す機能であると換言できる。

図4-1-4に船位誘導の制御ブロック図を示す。

060-1.gif

また、実証試験期間中における船位誘導の制御結果の例を図4-1-5に示す。

図の横軸はXTE(クロストラックエラー:コースラインからの偏位量)であり、縦軸はCE(コースエラー:自船針路と設定針路の差)である。クロストラックエラーは左右50m以内におさまっており、コースライン上を精度よく航行できていることがわかる。ただし、コースエラーは±8度の幅で変動しており、ヨーイングしている状況となっている。

これは制御アルゴリズムにおいて修正針路を与えるタイミングに起因するもので、メーカによる調整作業(平成9年12月実施)により、図4-1-6に示すような精度を得ることができた。(コースエラーが±4度以内となった)

この船位誘導機能は普通の航行局面に対応した機能と考えることができる。狭水路等で極めて高精度の位置誘導が必要な場合には、予めそれに応じたメーカによる調整が必要になる。

 

 

 

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