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(1) 近代化設備の有効性

近代化設備の有効性の評価は安全が確保されていること、操作性に優れていること、乗組員の負担(作業量、疲労等)が軽減されていることなどに着目して実施する必要がある。具体的には以下のとおりとする。

? 統合操船システムの有効性

安全性の確保・向上に果たす統合操船システムの有効性を次のように考える。

有効性=f(乗組員の負担,操船の結果)

「有効である」<=「乗組員の負担が軽減する」∧「操船の結果が満足(許容)できる」

「有効でない」<=「乗組員の負担が軽減しない」∨「操船の結果が満足(許容)できない」

 

内航近代化実証船が出会った航行環境を把握して操船の環境(交通環境)を明らかにした上で、統合操船システム(船位誘導機能、避航支援機能)の使用の有無による乗組員の疲労および作業負担(含むコメント)を比較するとともに、操船の結果(船位誘導の精度、避航開始距離、航過距離等)を検証し、「乗組員の負担」「操船結果の評価」の二つの面から統合操船システムの有効性を検証する。「操船結果の評価」では、極力周囲を航行する船舶(避航対象船)からのコメント等を得るものとし、「操船結果の評価」における客観性を得るものとする。

 

? アクチュエータシステムの有効性

有効性の考え方については?統合操船システムと同様である。

アクチュエータシステムの機能が発揮される局面は港内操船であり、このときの操船環境(自然環境)を明らかにした上で、「乗組員の負担」と「操船結果の評価」に基づきアクチュエータシステムの有効性を検証するものとする。

また、荒天遭遇時においては操船の環境(自然環境)とともに、船体動揺量と乗組員の評価を取得し、アクチュエータシステムの荒天航行における有効性を検証する。

 

? 機関室のモジュール化およびMO化の有効性

有効性を次のように考える。

有効性=f(信頼性,操作性,乗組員の負担)

「有効である」<=「信頼性がある」∧「操作性がよい」∧「乗組員の負担が少ない」

「有効でない」<=「信頼性がない」∨「操作性が悪い」∨「乗組員の負担が多い」

ブリッジ対応での信頼性、エンジンモニタ等の操作性と乗組員の負担とで検証するものとする。ブリッジ対応での信頼性は、機関室アラームの発生頻度とその内容(リモートコントロールでの対応の可否)でもって検証し、操作性はモニタリングおよびリモートコントロールのし易さについての評価、乗組員の負担は作業内容・コメントにより検証する。

 

 

 

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