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5.2.4 流出油の陸岸への漂着を防止する方法の研究

陸岸に漂着した油の回収、防除は、ナホトカ号の経験でも分かるように極めて困難であり、陸岸に漂着することを極力防止する必要があることは論を待たない。冬季の日本海を想定した場合、非常に困難であると思われるが、ナホトカ号事故の時にも原子力発電所の取水口を流出油から守った例もあり、海岸全体は無理であるとしても、特に保護すべき地域への漂着を防ぐような手段は開発可能と思われる。これは具体的には、高波高に耐える特殊なオイルフェンスとその展張方法の開発になるであろう。

 

5.2.5 微生物による自然浄化の促進に関する研究の追跡と問題点の洗い出し

海岸に残留した油は、いずれ微生物によって分解、浄化されるが、適当な肥料を与えて微生物を活性化し、浄化を促進しようとする研究は既にシップ・アンド・オーシャン財団を始め複数の機関で実施され、有効であるとの報告が出されている。しかしながら、その評価は必ずしも確定せず、また使用する肥料の影響に対する危惧の念も完全には拭えないのが現状である。これについての結論の方向性は、流出油がそのまま残存するのと、肥料を散布するのとどちらが海中生物にとつて有害であるかの判定にかかっている。この点について、何種類かの生物を対象に精密な試験を行い、正確な判定がなされ、微生物による浄化の促進法が公正な評価を得られるようにすることが望ましい。

 

5.2.6 分散処理剤の処理効果と生物に対する影響の調査研究

分散処理剤そのものの毒性については、既にかなり研究され、また毒性の極めて低い、いわゆる第三世代の分散処理剤が開発されていることは前述のとおりであるが、分散処理剤で処理された油がどのような性状を持ち、どのようにして浄化されていくのか、その過程と生物に対する影響について調査、研究を行うことは、今後分散処理剤の使用を容易にする上で必要であろう。

 

5.2.7 在来船の流出油回収船への転用

Nakhodka号の事故では、ガット船、バキュームカー、消防ポンプ等、既製の船舶あるいは機器が、流出油の回収に役立ったことが報告されており、これらの船舶あるいは機器の配備状況を把握して有効利用することが望ましいことは前述の通りであるが、一歩進んで、多数存在する在来特殊船に簡単な装置を付加することにより、有事の際に流出油回収船に転用できればさらに有用であろう。

その一例としてシップ・アンド・オーシャン財団では平成10年度より技術開発基金の補助事業として、海砂採取船の流出油回収船への転用の研究開発に取り組むことになっており、成果が期待される。

 

 

 

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