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3.2.5 油吸着材

油吸着材は、吸収・吸着によって油を回収する物質・材料であり、基本的に以下の3種に大別できる。

 

1)樹皮、泥炭ゴケ、藁、干し草、羽毛、椰子殻、サトウキビの搾りかす等の天然有機物

2)蛭石、真珠岩、火山灰等の鉱物起源物質

3)発泡ポリウレタン、ポリプロピレン繊維等の有機合成油吸着材

 

有機合成油吸着材は、通例その体積の割に油の保持能力が大きく、繊維、モップ、シート、等さまざまな形態で入手でき、種類として

 

1)ポリプロピレン系

2)ポリウレタンフォーム系

3)ポリエチレン系

4)ポリスチレン系

 

等があり、ある程度は再利用できる。

国内の規格については、海防法施行規則第33条の第1号において

 

1)B重油吸着量:6g/1g以上、0.8g/1cm2百以上

2)吸水量:1.5g/1g以下、0.1g/1cm2前以下

3)通常保管状態において変化しにくいこと

4)油吸着状態で長時間原形を保つ、回収容易なこと

5)焼却可能かつ有害ガス発生少量であること

 

と定められている。

天然有機物の吸着材には、親油性薬品で処理、あるいは加熱の調節により、水よりも油を優先的に吸着するように加工できるものがあり、これにより回収性能が向上するとともに、水中への沈下を防止できる。吸着材は、その使用法に注意さえすれば、海域条件を問わず使用できるものが多い。

近年から現在まで吸着材はウールタイプのものが主流であったが、Parker Systems, INC.のOil Snareに限っては、幅5mm程度の薄い帯状のポリプロピレンを撚って束にした形態をもっている。これは撚りをいれるとことにより、油の保持力を向上させたものであるが、その効果は絶大で、表3-2-12中の吸収能力を見てもそれはわかる。この吸着材は、1997年1月、日本海で発生したNakhodka号の重油流出事故で活躍したことは記憶に新しい。

また、環境問題に配慮すべく、その材質に天然素材を使用したものもある。ノルウェーのABSORBERINGSTEKNIKK AS社の吸着材は、製品後の余剰羊毛と松の樹皮を原料としており、規模の大小を問わず、多量に使用した吸着材の燃焼処理時の有害物質発生に対処している。

いずれの吸着材も、その素材から考えて親水性は低いものと推察されるが、特にCan-Ross Environmental Service Ltd,のMatasorbは、流出油を吸収するだけでなく、撥水性があるため、油種を問わず油流出事故に対応できる吸着材である。

 

 

 

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