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いずれの機関による防除実施についても、荒天時のようにオイルフェンスや油回収装置等による機械的回収が無理であると判断された場合には、防除資機材・チームは近隣安全区域で待機し、海域が静穏化した後、速やかに出動し防除作業に入るというのが実質的な防除実施状況である。

また、荒天時における分散処理剤の使用については、最も有効な手段と認識しているものの、水産資源、本生生物への影響を危険視している。

さらに現場燃焼処理については、流出油の78%が燃焼処理できるため、効率がよい方法としながらも大気汚染の問題が残っている。

ヒアリングで訪問したUSCGの指揮官によれば、将来、機械的回収、分散処理、現場燃焼の組み合わせとその効率的な運用法を策定するとのことであった(Johnson,1997)。

 

(5)防除対応訓練

MSRCでは、流出油処理作業で使用する資機材を用いたトレーニングをMSRC自体だけでなくサブコンストラクターに対しても実施している。一例では、油流出事故処理作業の全国的な対応の成果を上げるために、USCG、石油業界、流出油対応組合及び独立の流出油処理業者の参加を得て、定期的な訓練や演習を行っている。

また、海事関連の安全訓練を営業品目としているTexas Engineering Extension Serviceの海洋訓練安全センター(Center for Marine Training and Safety)では、訓練カテゴリーのひとつとして「熟達者レベルの油流出事故対応訓練」を実施している。これは、油流出事故への緊急対応を満足すべきレベルで実行可能な技術者を養成するコースで、その教育・訓練内容は、

 

1)運輸省(Department of Transportation:DOT)の対応要求レベル

2)事故発生時の指揮系統

3)化学薬剤(分散処理剤等)の安全データ

4)防除員防護機器

5)模擬訓練

6)危険物質の教育

7)国家の対応系統

8)油濁浄化

9)モニタリング機器

10)オイルフェンスと油回収装置の理論・設計・運用

11)現場安全維持計画

12)油流出防除戦略

13)流出油の化学的、生態的挙動

 

で構成されており、これらの教程を5日間(40時間)で実施する。

 

以上、既往文献調査及びヒアリング等により得た情報を参考にして作成したアメリカにおける油流出事故対応の流れを図3-1-3に示した。

 

 

 

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