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2. 油流出事故の調査

 

2.1 主な油流出事故例

油流出事故については、国内外に多くの事例がある。本調査研究では外洋域を対象として、国内外における主な油流出事故に関して発生場所、油流出量、事故原因等について調査した。調査結果を表2-1-1に示す。流出油種は原油が多く、事故はタンカーによるものが圧倒的に多い。また、事故原因については座礁と衝突がその大部分を占めている。

本調査研究は、我が国における外洋での油流出事故の対応策の検討が主であるため、この研究に適する事例を表2-1-1の中から抽出するものとした。抽出にあたっては、大規模であり、事故への対応がその後の防除計画、体制、法律などに大きな影響を与えた事例を選ぶものとした。

表中、Exxon Valdez号事故は、当時、油濁損害に対する包括的法律のなかったアメリカにおいて、防除費用や油濁損害の規模において大きな反響を呼び、事故後約17ヶ月にして「1990年米国油濁法」(OPA'90:Oil Pollution Act of 1990)の制定という結果をもたらした。

Arisan号事故は、1972年に国家汚染管理局(SFT:State Pollution Control Authority)が設置されてから、大規模な流出事故をあまり経験していないノルウェーに、総合性の高い油流出事故対応システムを築き上げる機会となった。

Sea Empress号事故は、近年において外洋域で発生した事故の中で大規模なもののひとつである。この事故においては、速やかな分散処理剤の散布が実施された。事故当初における120,000〜140,000tのエマルジョン化した油がサウスウェールズの海岸線を汚染する可能性が考えられたが、分散処理剤の散布と機械式回収により、その10%程度に抑えられ(Lunel,1997)、初期対応において分散処理剤を散布することの意義がはっきりと証明された事例であった。

Nakhodka号事故は、周知の通り荒天時の日本海で発生した大規模油流出事故であり、防除対応体制、資機材とその運用方法、および人員確保や安全衛生面等、我が国の流出油緊急防災計画に多くの教訓を残した。この事故を受けて1997年1月20日、内閣官房長官主宰の「ナホトカ号流出油災害対策関係閣僚会議」が設置され、さらにこの関係閣僚会議の下には「大規模油流出事故への即応体制プロジェクトチーム」が設置され即応体制の検討がなされた。

ここでは、上記4事故(表2-1-1のシェーディング部に対応、事故発生位置については、図2-1-1参照)を本調査研究の目的に整合する典型的な事例としてとらえ、これらの事故の概要を次節に記す。

 

 

 

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