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ルネル: 共同研究という事ですが、ヨーロッパの中だけではなく、北米ともその様な動きがあります。例えば、9月に実地試験を行う予定ですが、これにはヨーロッパのみならず、北米も加わり、特別にエクソンも参加致します。

あと、機械的回収対分散処理剤の詳細ですが、両方の分野で今研究が行われています。講演の中でも強調しましたが、英国とノルウェーの間でどこに力点を置くかという違いはあるにしても、その違いはごく僅かだと思います。単純にどちらを最初に使いたいのかという力点が違うわけです。両国では、どちらの作業法とも偏見なく考慮されています。北米でもそのような状況になってきていると思います。今後は両方を選択肢として見るという方向に行くべきだと思います。

分散処理剤の共同研究もあります。機械的回収になると、具体的な研究はそれほどありません。機械的回収は既に確立された産業であると見られているからです。過去10年間機械的回収の分野での革新は殆どありません。新しい挑戦があれば共同研究もあるのです。この分野ではフランスと共同研究が行われており、海上での回収と海岸線でのエマルジョンの回収の研究が行われています。そして9月にオイルエマルジョンに関する実地試験をするつもりでしたが、恐らくは来年の春まで、延期されることになりました。ただ、これは共同研究計画としてやるつもりです。この実地試験でテストするのが適当で、共同研究になり得ると思う技術があれば、非常に関心がありますので、ご一報いただきたいと思います。

ケインズフォード: その点について政府の立場から少し敷衍してお話ししたいと思いますが、我々としてはやはりいろいろな手段を持っていたいと思っています。分散処理剤から海上での機械的回収まで、いろいろ使いたいと思います。ただ、問題はコストです。ご存じと思いますが、米国の選択は、非常に効果的ですがコストがかかります。我々はその様な方向をたどってはおりません。というのは、我々としては危機分析を扱うために専用船を英国全土の海岸に配備することは考えていません。ノルウェーではもっと具体的に焦点を定めた危機評価を実際の石油リグに関して行っていると思います。したがって、機械的回収がよりすばやく集中できるということです。

我々の場合は、数時間の内に英国及び北アイルランドの周囲200海里までの海域のあらゆる事態に対応する必要があります。機械的回収は初動としてはあり得ません。だからこそ、汚染防除の第一手段としては分散処理剤の空中散布に頼らざるを得ないのです。それならば200海里の海域のどこへでも2,3時間の内に出動できます。ただ、条件が整っていれば、特に環境や海岸線への脅威が追っているということになれば、シー・エンプレス号の時にやったように、機械的回収により援護します。

ここには大勢の専門家がいらっしゃいますが、どの様な大規模な油流出でも、機械的回収によってl0%以上の回収ができたという例はないと思います。これはこれまでの事故の証拠で裏付けられています。これは事実なのです。

オブザーバー(H.リドランド,マリナーグループ): 日本は海洋環境の被害に関して、他の多くの周辺諸国に比べてより敏感になっているということを評価すべきではないかと思います。これは分散処理剤の利用も含めてです。この際多少のコメントと一つの質問をしたいと思います。

油の流出に効果的に対処するためには、いかなる方法もハードウェア及びソフトウェアが適切で、しかも適切な時に適用されなければなりません。主要な流出で機械的回収がl0%以上回収した例はないという発言がありましたが、殆どのこの様な事故の場合、海上でその様な条件下で回収するのに適当な資機材が投入されていなかったということを心に留めておかなければいけないと思います。シー・エンプレス号の場合もそ

 

 

 

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