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は約4億米ドルであった。これには主要設備に対する1億4,500万米ドル、年間運営予算に6,500万〜7,000万米ドル、5年間の研究開発予算3,000万〜3,500万米ドル及び全国の303人からなる組織に対する経費が含まれている。

 

1990年米国油濁法(OPA-90)―1990年8月

業界がPIROを創設していたのと同時に米国議会は、両院においてプリンス・ウイリアム湾油流出事故のような環境災害の防止ばかりでなく、その対応のための法案作成を進めていた。プリンス・ウイリアム湾での船舶の座礁事故から17ヵ月後に、大統領は1990年米国油濁法に署名し、同法は1990年8月18日に発効した。この新しい法律は数多くの米国の法律を一つにまとめた米国における最初の総合的な油汚染防止法である。

OPA-90には下記を含めた多くの条項が定められている。

* 対応活動のために米国沿岸警備隊に与えられた、拡張された連邦政府の権限及び責任

* 国の計画策定及び対応システム

* 民間の対応能力に依存する強制対応計画

* 船舶、石油試掘及び生産用のプラットフォーム、ターミナル及びパイプラインに適用

* 設備規定及び検査一対応及び予防の両面

* 連邦政府による強制的な演習及び訓練計画

* 州法に対する連邦法優先の棚上げ

* 1993年2月までの厳密な実行計画

OPA-90には、別の重要な“対応者の免責"条項が定められている。この条項は、対応者が人的な傷害又は不法な死亡事故を起こしたり、あるいは重過失若しくは意図的な違法行為を行っていない限り、対応者に対して制限付きの免責を定めている。対応組織は、丁度消防署のようにその対応行動の日時、気象条件又は状況を選ぶことができないので、これらの要因により課される責任から保護されなければならない。米国の大部分の州において同様の条項が採用された結果、米国議会及び米国の全ての沿岸管轄当局は、この条項は対応作業を促進する適切な公共政策であることを認めている。

 

海洋保護協会/海洋油流出事故対策株式会社―1990年9月

PIROの調査後、OPA-90が発効してまもなく、石油業界は同法において検討された種類の対応能力を備えるための二つの新しい組織を創設することを発表した。海洋保護協会(MPA)及び海洋油流出事故対策株式会社(MSRC)が1990年9月に創設された。MPAはMSRCの対応能力に対して資金提供するために創設された非営利組織である。MPAの会員は、MSRCと契約し、対応作業を要請する権限が与えられている。MPAはMSRCの資本支出及び年間の運営予算のための資金を提供する。

二つの組織が設立された時には、5年間のコストは約8億2,500万米ドルと想定されたが、これは1990年1月の時点の2倍にあたる。現在この数字は、主要設備の購入費として約3億2,500万米ドル、年間運営予算が約1億米ドルと見積もられ、5ヵ年計画の研究開発費は、当初見積りの3,000万〜3,500万米ドルで維持されている。MSRCを立ち上げ、運営するために必要な人数は395人と見積もられた。

 

OPA-90に基づく米国の規制要件

OPA-90は多くの米国政府機関に対して実行と規制の責務を課していたが、その最たるものは、米国沿岸警

 

 

 

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