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ゲインズフォード: 重点の置き方が変わったということでしょうか。特に外洋の石油掘削現場については、緊急防災計画の一環としてやはり分散処理剤を備蓄しておくようにということなのでしょうか。私が申し上げたいのは、もしそうならば、今後5年から10年の間に、分散処理剤用資機材や分散処理剤の備蓄を国としてより積極的に使おうとしているのでしょうか、ということです。

ネールラン: そうです。70年代の後半から80年代の初めにかけて備蓄基地を設置したときに、分散処理剤の備蓄も行っていました。そして、船上に搭載できるような散布装置も持っていました。ただ、殆ど使わないという状況でした。先程述べましたように、これまでの事故は殆ど重油で、分散処理剤は重油にはあまり効果はありません。ですから、もう備蓄はしておりません。というのは、他でもなく私が前に(Session-4で)質問した理由でもあるのですが、製造者からの情報では、当時持っていた分散処理剤は一定の時間が経つと期限切れになって使えなくなってしまいます。今は事情が変わっていると思いますが、当時はそうでした。そして、再備蓄はしませんでした。あまり言いすぎないように注意しないといけませんが、今は多少雰囲気も違ってきております。ただ、全く政策を変えるということに合意が成立するまでにはまだまだ時間がかかると思います。

ゲインズフォード: 資機材の中に6隻の沿岸のタンカーと書いてありましたが、この6隻のタンカーは大きな事故がないときは、毎日何をしているのでしょうか。

ネールラン: 毎日油を積んでノルウェーの沿岸を定期航行しています。沿岸で何隻タンカーを保有しているかは知りませんが、非常に沢山あります。そのうちの6隻のタンカーと契約しています。それらのタンカーは常時沿岸に散らばっています。何らかの事故があった場合には、回収した油を貯蔵する場所が必要なので、そのために使うのです。そのために導入しているのです。6隻のタンカーはある程度の機材、例えば回収装置とオイルフェンス等を積んでおります。そうして回収した油を貯蔵するのに使います。そのための同意が取り付けてあるのです。

ゲインズフォード: ではそれらのタンカーは積荷をまず下ろしてから行く訳ですね。

ネールラン: 満載であればもちろん積荷を下ろしてから行動することになりますので、ちょっとした問題ではあります。全ての船がいつも満載ということはないでしょうが。海岸に配置してある備蓄機材についても同じことが言えます。10人の地元の人達と契約をしており、何か起きた場合には、備蓄基地に集まるようになっています。学校の先生やバスの運転手等の人達で、5人程確保できれば良い勘定になっていますが、殆どの場合、10人全員が集まります。

これは沿岸のタンカーも同じで、いつも1隻は空船があるでしょう。いつも荷を積んでいるわけではありません。精油所から戻る船もあり、荷卸し中の船もあり、ちょうど帰路であるというタンカーもあるでしょう。もちろん非常に運が悪い時には使えない場合もあります。しかし我々は、同時に1,000t(l,200m3)の油を運べる漁船とも契約していますので、それらを動員することもできます。それも一つの選択肢です。大体同じぐらいの量を運べる補給船も常に持っています。これらを動員することもできます。ですから私が申し上げましたように、実際には居合わせた船にかなり依存しているということは言えます。

デイヴィス: 終わりの方でおっしゃった技術に興味があるのですが一松の樹皮を油の上に撒くのですか。もう少し詳しく教えていただけないでしょうか。

 

 

 

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