日本財団 図書館


背景

1967年のシシリー島沖におけるトリー・キャニオン号事故の後、英国政府は全世界を航行する遠洋タンカーの船主が、いかなる海域で発生した油流出事故にでも対処できる緊急防災態勢を整えることは、殆ど非現実的であるということを認識した。それゆえに中央政府は、英国の利益に脅威を与える海難事故によって生じた海上流出油への対処に責任を負うことを決定した。

同時に、国及び地方レベルの海岸線の地域関係当局が、緊急防災計画の作成及び油流出事故から生じた海岸線の汚染浄化の両方に対して法律に基づかない責任を負うことになった。

地域関係当局は、海岸線の浄化に関して特定の法的責任を負うものではないが、緊急の油流出事故の影響を緩和するための出費を負担する権限を有する。ドナルドソン上院議員のブレア号事故の審理においては、地域関係当局(及び港湾関係当局)に対して浄化にかかわる法的責任及び緊急防災計画を策定する義務を与えるべきであると勧告している。政府はこの勧告を検討することに同意した。

1996年3月31日以前には、西ウェールズの州評議会及び全ての海事関係の地域/都市評議会の代わりにダヴェッド州評議会の市民防衛計画機関(CPPU)により油濁対応計画が作成、維持されてきた。この計画はCPPUの当直担当者が油濁事故に対応する州の油濁担当官及びその他の機関に対して通報する際に行うべき対応を詳細に述べている。

1966年4月のウェールズの地方行政組織の再編成に基づき、州と地域の役割が統合された。CPPUから一人の担当官がそれぞれの新しい単位機関に任命され、同担当官は州の油濁担当官と緊密に協力して新しい機関のための地域緊急防災計画を維持する。

地域緊急防災計画の目的は、カマーザン州、カーディガン州及びペンブローク州のために、海岸線の油濁への効果的な対応計画を援助することにある。更に、計画書の内容がミルフォード・ヘブン港湾当局、石油企業及びその他の機関のものと矛盾しないようにし、油濁浄化のための入手可能な全ての資機材に関する情報を収集、記録することにある。勿論、国家緊急防災計画とも一致するものでなければならない。

ダヴェッド州の油濁顧問グループ(DOPAG)が、主要な地域機関相互の緊密な業務提携関係を育むために設置された。1993年に同グループは「海浜データと浄化指針」を作成したが、これにはグループ内の様々な機関の主要な担当者間の詳細な打合せが含まれている。この試みは、アクセス経路や適切な浄化方法等の重要な問題点に的を絞るのに役立ち、又、合意に達した暫定保管場所を示す非常に有用な10,000分1の注釈付きの地図を提供した。

同グループは最近、地方行政組織の再編成後の最初の会合を西ウェールズ油濁顧問グループ、WWOPAGの新名称で開催した。最初の仕事の一つは、シー・エンプレス号事故の教訓に基づいた、地域油濁緊急防災計画の改訂作業の予定である。

訓練は、油流出事故処理計画の重要な部分である。海洋汚染対策部(MPCU)は海岸線浄化及び管理技術の指導を行い、又、浄化装置の実証運転を定期的に行っている。DOPAGは、共同対応センターの設立を含む大がかりな演習等の訓練も行っている。

オイルフェンスの展張訓練も行われ、これは健康及び安全上の問題並びにオイルフェンスの展張場所へのアクセスの困難さ等の技術的な実際の問題を認識する良い機会となる。オイルフェンスの試験は一般に理想的な

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION