A. 英国の汚染対策におけるMPCU(Marine Pollution Control unit)の役割と最良手段としての空中散布による分散処理剤
1.0 はじめに
1.1 国家緊急防災計画は、関係当事者全員との協議により英国政府によって策定され、船舶からの油や他の危険物質の海洋環境への流出によって生じる汚染の処理手順を定めている。全ての汚染対策の主目的は、汚染による英国海岸又は英国国益への脅威を最少にすることである。
2.0 責任の概略
2.1 英国政府は、英国国益を脅かす、海洋における船舶からの油や他の危険物質の大規模流出を処理する責任を負う。
2.2 運輸省沿岸警備隊は、英国政府の責任を、その専任部隊MPCUを通じて実行する。この部隊は、「油汚染準備対応及び協力条約1990」(0PRC1990)によって設定された国内主官庁である。
2.3 イングランド、スコットランド及びウェールズの各沿岸地域当局並びに環境省(北アイルランド)は、沿岸汚染の処理に対する法令外の責任を負う。なおこの状況は検討及び協議中である。
2.4 港湾当局は港湾内での汚染処理に対する責任を負う。
2.5 英国政府は、沿岸地域当局及び港湾当局が甚大な汚染を生じる大規模な事故について支援を必要とする場合にはこれを行う。このような状況で、MPCUは、沖合の作業を指揮するだけでなく、完全に準備された対応ができるように海岸線の浄化対応と資機材を配備することによって、現地当局を支援する。
2.6 英国水域内及び付近の船舶からの油又は他の危険物質の流出に関する全ての報告内容は、1日24時間、1年365日間、無線監視を続けている英国沿岸警備隊に報告されなければならない。英国沿岸警備隊は、いかなる事故についても、評価、監視、対応するためにスタッフが1日24時間待機しているMPCUに警報を発する責任がある。
3.0 MPCUの機能
3.1 油流出事故対応
* 1990 0PRC条約の要請によって設立された国内主官庁として活動し、海上船舶からの油や化学物質の流出を処理する政府の緊急防災計画を支援。
* 英国水域内及び付近の船舶からの油又は他の危険物質に関する報告の監視、追跡及び海上汚染対応の指揮。
* 分散処理剤の適切な備蓄とその空中及び船舶散布による適用手段、及び海上や海岸線の油の回収又は移送用資機材の調達と維持。(2基が海上用、1基が船舶移送用備蓄資機材として利用可能)
* 地上へのデータリンクによる空中リモートセンシング機能及び流出油の質、予想される動き、特性の評価を支援するコンピュータシステムの維持。
3.2 化学物質流出事故
* 初期アドバイスを提供するためのコンピュータ・べースのリスク評価と対応モデルの維持。