日本財団 図書館


我々は、計画、準備及び油流出に対する管理技術の改善に加えて、浄化能力に対する新たな油流出事故対応技術の検討、評価及び追加に積極的に取り組んでいる。我々は民間の資金と人員による対応を主張しているが、最善の対応のための即応体制の能力と、更に必要ならば民間の資機材が対応の初期段階において時間的又は資材的に制約される場合に、最善の初動能力を保有しているのが現在の我々の義務である。

専門技術の著しい向上及び我々0SR0の対応能力の改善により、沿岸警備隊の迅速な対応資機材である従来型の資機材(即ち、オイルフェンス及び回収装置)の必要性が低減しつつある。我々は分散処理剤の使用及び現場における燃焼の手法の分野に取り組むべく視野を広げており、その分野の専門技術及び対策は急速に進歩しているが、まだ全てに適用できる状態ではない。

1990年代の中頃になると、分散処理剤使用の事前承認に対する同意書の数が急増してきた。このような同意書が、以前の重大な対応のときに確保できていれば、小田原評定はしなくて済んだし、この時間が決め手である緩和手段を迅速に使用することが認められたであろう。我々は地域の対応チーム及び地区に対し、この事前承認を取得するように積極的に働きかけ、殆どの場合において、当該政府当局や資機材保管者による事前承認又は迅速な承認の手続きを得ることに成功した。この機能によってFOSCは可能な最善の対応整備に向けて新たな手段を手に入れることとなった。

従来の回収及び除去方法は対応手法の選択肢として残されている。それでも対応責任者、利害関係者、保管者及び関係機関の間では、他の方法の利用(即ち、化学品及び現場での燃焼)が、大量の油の潮間帯への流入を防ぐためには必要であり、実際問題として望ましい方法であるとの認識が高まっている。

要約すれば、エクソン・バルディーズ号以後の油汚染対応法は、我々が地域社会の協力者として、共に計画し、共に訓練し、共に対応するシステムであると認識している。我々の成功は共に分かつべき勝利であり、失敗は共に学ぶべき教訓である。油流出事故対応はもはや分裂的な作業と見られるべきものではなくて、共に立ち向かわなければならない挑戦である。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION