日本財団 図書館


当者は連邦現場調整者(FOSC)と呼ばれるが、公衆衛生や公共の福祉に脅威を与えるどんな油流出事故にも、その対応を指揮する権限が法律で委任されている。

公共の福祉を拡大解釈すると、FOSCは殆どの中規模及び大規模な油流出事故において指揮を取ることになる。その他の油流出事故において、有責当事者が判明し、その者によって適切な方法で対応が行われている場合には、FOSCは浄化作業の進捗状況を監視する。FOSCは適用すべき緊急防災計画に基づき浄化が完全に遂行されたことを確認する最終的な責任を常に有している。この一人の担当者を指名するのは、異議が生じた場合に誰が最終的な調停者となるのかという問題を明確にし、極めて有効な方法であることが立証されている。

このような緊急防災計画策定過程の自然な結果として、計画は、ねらい通り論理的で、一般に知られ、かつ受け入れられる対応組織になって行く。浄化作業の管理はFOSCの指示に基づき、FOSC、州(又は複数の州)の0SC及び油流出側の浄化管理者又は有責当事者で構成される統一命令機構を通して行われる。この三者機構が対応作業の戦略を決定する。しかし、不幸にして合意に達することが困難な場合には、FOSCは対抗する意見を抑えて、問題の最善の解決について決定を下す法的な強制権を有している。

上記の三者機構に基づくこの事故対策命令システム(ICS)は更に主要な四部門に分かれている。これは計画、補給、運営及び財政の四部門である。これらの部門のスタッフは、対応計画作成過程に加わりこれを事前に決定する。想定されるあらゆる関連の対応管理分野はこのシステムによって調整される。従来の計画策定手法において無視されることが多かった分野がこれにより扱われることになった(即ち、ボランティアの調整及び訓練、高官の訪問、式典、マスコミ関係等)。このシステムは内部的には極めて柔軟性があり、特定の要求や事故の規模に適合するように拡大、縮小することができる。国家的な重要性を有する事故と称される事故の対応にも間もなく適用する予定である。これは従来の油汚染対応の範囲を超え、その他の事故の対応分野に構想を拡大するものである。

上記の計画作成、準備及び訓練過程と同時に、FOSCはその他の全ての政府機関により支援される。これはNCPの要件であり、FOSCは油流出の対処においてこれらの機関の支援及び特別の機能を登録することができる。これらの機関の中にはFOSCに対し莫大な人員配置及び補給支援を展開できる国防総省が含まれている。

国の対応チーム(NRT)及びより地域に限定した地域対応チーム(RRT)は、これらの各連邦政府機関の日勤職員により構成され、RRTレベルの州代表を含んでいる。これらの人員は、通常では非能率な官僚的決定を促進することでFOSCを支援するために待機している。又、これらのチームは、分散処理剤の使用及び現場での燃焼等の異なる対応手法について最終的な事前承認の決定において指導的な役割を果たす。

OPA90は、潜在的な油流出当事者に責任を求め、汚染事故の当事者自身が対応措置を講ずることを要求している。油の流出源がタンカー又はタンク艀の場合には、これらの運航業者は”最悪の排出状態”の汚染を浄化するために指定された流出油除去組織(0SR0)との事前契約を締結していなければならない。最悪の排出状態とは簡単に言えば、天候が悪ければ全ての積荷が失われるだろうことを意味する。現在これらの各船舶は汚染事故に対応するための資金的責任能力を証明することが要求されている。これらの船舶は、実際、汚染対応に備えて船舶固有の緊急防災計画である承認済みの船舶油濁防止計画書を備えなければならない。0PA90に定める計画作成、協調体制の確立及び多くの各種訓練の実施によってあらゆる不測事態に対応できる環境が整えられてきた。我が米国モデルの素晴らしい成果は、緊急防災計画の合意に従い、一人の連邦政府の担当官即ち連邦政府現場調整官の指揮の下で行われる公共部門と民間部門との共同対応作業が基本になっている。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION