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・ ボランティアによる油回収作業開始。
9日 ・ 大型油回収船清龍丸(運輸省第5港湾建設局所属)が浮流油回収作業を開始。
10日 ・ 関係省庁による「N号海難・流出油災害対策本部」設置。

? 浮流油・漂着油の防除

流出油の沿岸地域への漂着を最小限にするため、船艇・航空機による浮流状態の調査、自治体等への情報提供をはじめ、次の対策を行った。

(a) 沖合い浮流油の防除対策

・ ヘリコプター、船艇による油処理剤散布

・ 油回収船及び回収装置搭載船艇による回収。

・ 巡視船艇、自衛艦、漁船等による柄杓、ネット等を使用した回収。〔図6〕

(b) 沿岸浮流油の防除対策

・ 原子力発電所等重要施設へのオイルフェンス展張。

・ 回収装置搭載船艇による回収。

・ バキュームカー、ポンプ車等による陸岸からの回収。

・ 柄杓、バケツ等を使用した人力による回収。

(C) 浮流油漂流予測の公表(我が国初)

浮流油は事故発生約1ヶ月後の2月10日頃には、ほぼ洋上から姿を消した。

一方、油の漂着は船首部が福井県三国町に到達した1月7日より始まり、日時の経過と共に日本海側の9府県に及んだ。各地方自治体は海浜への油漂着に前後して、それぞれ対策本部を設置した。漂着油の回収は自治体が中心となり、国の関係機関やボランティアの協力のもとに、主として手作業により進められた。

? 船首部残存油の抜き取り

漂着した船首部からの流出油等で、三国町沿岸一帯は黒い海と化した。荒天によって船体の破壊が進めば、沿岸部の被害は更に拡大するおそれがあることから、残存油の抜き取りが緊急の課題となり、一刻も早い処置に向け関係者あげての対策の検討が始まった。

その結果、1月14日には、クレーン台船とバージによる接舷回収(瀬取り)を主な方法とするものの、冬期日本海では荒天のため、長期にわたって本方法による回収作業が拒まれる恐れもあることから、船首部付近までアクセス道路を応急的に築造し、その道路上から陸上クレーンを使用して回収する方法を併せて採用することが決定された。

回収作業が実施に移され、瀬取りはある程度進んだものの、やはり荒天による中断を余儀なくされ、最終的にはアクセス道路完成を待って2月25日にようやく回収を終えた。

なお、海象が安定的に静穏となった4月20日に船骸は洋上に吊り上げられ、その後瀬戸内海に移送され、事故原因調査を経て解体された。

? 原子力発電所の防除対応

若狭湾は我が国の原子力発電所の約3分の1(出力比)が集中立地している地域であり、これら施設への油流入阻止が危急の課題とされた。このため、

(a) 浮流油が若狭湾に流入しはじめる1月8日頃より、各発電所に対し防除措置の強化を指示した。

(b) 取水口周辺のオイルフェンスを高規格化、多重化すると共に、地元漁船等による回収作業を開始し、また、浮流油の夜間監視、チャーター機によるきめの細かい浮流状況確認、オイルフェンス内に侵入した油魂の陸上からの回収などを精力的に実施した。その結果、幸い、いずれの発電所においてもそ

 

 

 

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