中部、北部の貨物は1万トン以下でしたら、このクワロ港を通過していくことになります。また、1万トン以上の船でさらに遠いところまで運ぶ貨物は、8号線及び12号線を通って、グンアオ港に出ます。また、9号線はラオスのサバナケットからヴィエトナムに続いている道路です。そして、ラオスの国道18号線とヴィエトナムの国道40及び14号線は南部ラオスから東北タイを抜け、ヴィエトナムを通り、ダナン港群に達しています。これはヴィエトナムの交通ネットワークと周辺諸国との交通ネットワークとをリンクしたいという考えに立ったプロジェクトです。ヴィエトナムが海岸線を有する国家であるというメリットを最大限に生かす、もちろん、そのほかにもいろいろな設備がありますが、プライオリティーの高いものではありません。例えばハノイに続く放射線状の道路設備、また北部のネットワーク、また、タイグエンから南部に抜けるやはり縦のルート、24号線、25号線、26号線、27号線、28号線など、また、メコンデルタ内部をつなぐネットワークの国道線。
都市交通は、ヴィエトナムには大都市として2つ挙げられます。そのうち、ホーチミン市は人口が1980年当時のバンコクとほぼ同じです。この都市交通の交通渋滞の危機があらわれ始めています。ベトナムにはおよそ40万台の車があります。しかし、オートバイの数は400万台以上です。その増加率は年々20%を上回っています。それがハノイやホーチミンなどの大都市に集中しています。そのことが都市交通を逼迫した大きな問題となっています。現在、ハノイ及びホーチミンの公共運輸の占める割合は1割以下です。私たちの目標は、2010年までには50%を超えさせたいと考えています。また、解決方法として環状線の建設、または都市内貫通道の建設は今のところ、3割ほどしかできていません。したがってホーチミン市及びハノイにおける解決策として高架の鉄道をつくりたいと考えています。詳細については、TDSIサウスのクア次長から詳しいプロジェクトについてお話があると思います。
農村交通が重要なのは、ヴィエトナムの人口のうち、農村で暮らす人口は8割以上を占めるからです。ヴィエトナムの工業化、近代化戦略は農村にほとんど集中します。主な目的は、組織的な整備と雇用問題の解決です。ヴィエトナムの農村交通はとても原始的な状態です。私たちの目標は、いかにして各村にまで届くネットワークを構築するかということです。そしてその町道を一歩一歩グレードアップしていくことです。
基本的なところだけを申し上げてきました。以上がヴィエトナムの交通運輸インフラストラクチャーの整備の方向性に関する基本的なことでしたが、以下のような考え疑問が出ております。この考え方は同時に日本の講師の先生方への質問にもなるかと思います。
近代的な運輸インフラというのは一体どのようなものなのか、
アメリカ、もしくは欧州、ヨーロッパの道路ネットワークのようなものなのか、
ドイツや日本の鉄道網のようなものなのか、
シンガポールや香港の近代的な港設備のようなものなのか。
ヴィエトナムの参加者の中にも日本に行って勉強してきた者もいます。また、いろいろなマスコミ機関、テレビ、新聞などを通して情報も得ています。
私たちが考え検討したことは、近代的な運輸ネットワーク、運輸システムは、日本がシステムをつくるに当たって、そのコストを最低限に抑えた方法ではないかということです。それが私たちが求めているところの近代的な交通運輸システムなのではないかと思います。