航空旅客あるいは航空貨物の需要のもとは、経済成長率と人口です。図-1は近隣東アジア諸国の経済成長率を、過去約20年間、30年間にわたって調べたものを示しております。
この図は、70年代10年間の平均の経済成長率、80年代10年間の平均の経済成長率、90年代は90年から95年まで6年間の平均経済成長率の実績値を示しています。いろいろな統計資料から、野村総合研究所のアジア研究スタッフが推計した資料です。
これからわかるように、過去30年間、中国が一番高い成長率を持続しています。ヴィエトナムは、データが95年、96年しかありませんので、2年間の平均になりますが、非常に高い成長率を示しています。ヴィエトナムの近隣諸国では、シンガポールが高い値を示し、また、香港が成熟した国の仲間入りをして来ています。日本は、90年代2%の成長率になり、今年はおそらくゼロになります。こうしたアジアの高い経済成長率が、アジアの航空旅客と航空貨物の量を非常に増やしています。
この図-2は、アメリカのボーイング社が昨年発表した航空貨物の成長率の図です。これは予測値も入っていますが、1996年から2016年までの約10年間で世界平均の航空貨物の成長率は、ボーイング社では、大体7%平均弱程度と予測しています。その中で、アジアだけを取り上げると、アジアの地域内が年率平均9%、アメリカとアジアが8%、ヨーロッパ、オーストラリアとアジアが7%強という予測がされています。つまり、通貨危機等の不確定要素はあるが、長い目で見ると、アジアの経済成長及び航空貨物の成長率は非常に高いと予測されています。
次に、1人当たりのGDP、国民所得について説明します。
図-3は、野村総研が予測した、国民1人当たり所得の実績と予測値を示しています。これは通貨危機がちょうど起きている最中に、いろいろな修正を施して予測したものです。
一番右の白棒は、2000年の初め5年間の予測値になります。これからわかるように、ヴィエトナム近隣諸国は、今後も国民所得が非常に上がっていくことが予測されています。日本は、このシンガポールの20%ぐらいのところです。近隣で申し上げますと、タイ、マレーシア、インドネシアの国民所得は図に示したようになります。ヴィエトナムは、データがないので予測値になりますが、1991年から1995年の平均で、名目値180ドルぐらいになります。これからヴィエトナムの所得が非常に向上する、経済が発展するということ、今低いわけですから、これからうんと伸びるということが予測されます。そういう期待を持って、野村グループもハイフォンに工業団地の開発をしました。しかしながら、まだなかなか売れ行きが悪いものですから苦戦していますが、ぜひ早く道路と港湾を整備していただければ、もっと売れるのではないかと思っています。