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8 むすび

 

日本における国鉄改革の経緯は、以上のとおりであるが、日本とヴィエトナムは政治・経済体制も異なるので、日本の例がそのままヴィエトナムに適用できるとは限らない。

ところで、日本もヴィエトナムも今後経済発展に伴って、貨物輸送、旅客輸送ともに輸送需要が増加することになるが、その場合エネルギー効率が高くかつ大量輸送が可能な鉄道が重要な役割を果たすと考えられる。

鉄道を国営から民営にしていくのは、世界の大勢である。ただし、民営化して鉄道が安定経営を続けていくには、いくつかの条件がある。

第一に、鉄道を自動車輸送と競争できるように近代化を図らなければならない。日本の鉄道が生き返ったのは、新幹線をはじめとする中距離の都市間高速輸送が可能であったことと大都市における都市内及び近郊輸送が可能であったことである。

第二に、輸送サービスの質の向上である。快速列車の増発、車両の更新、安全性や快適性の向上等を図って、旅客が鉄道に乗るように誘導する必要がある。

第三に、業務運営の効率化と経費の節減の努力を続けなければならない。鉄道は、ともすれば人手を多く必要とする事業であるが、経営という面からみれば、できる限り機械化を図って人件費を削減することが重要である。

また、職員の教育、訓練を充実することにより、1人がいくつもの能力をもつようにし、無駄を省く。

第四に、管理者・職員ともに、他人に頼らずに、自分で問題を解決するという自主性を持つことが肝要であろう。

民営化を成功させるには、まず、民営化した会社が将来とともに健全経営を続けることができる見通しが必要である。赤字が予想される会社の株式を持とうとする人はいないのだから・・・

 

 

 

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