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英国のフェリー産業

 

アルフレッド・ベアード

ネピア大学ビジネススクール(Sighthill Court,Edinburgh EH11 4BN,Scotland,U.K.)

 

入港船舶数と貨物取扱い高をみると、フェリー部門はおそらく、英国の海上運送および海港産業全体の中で最も重要な部門である。その重要度については、他の計測可能変数、特に雇用に対する直接的・間接的インパクトという面について、さらなる研究が提案されている。ただ、英国のフェリー産業は現在危険なまでに集中しており、二大フェリー業者が国全体の旅客・貨物の3分の2をコントロールしているといわれている。果たしてこのような状態が公共の利益に寄与するのかどうか、関係当局は考えなくてはならない。また、やや限定的な競争分野、つまり海峡トンネルに関しても見直しが必要である。海峡トンネルは地理的には遠く内陸にまで伸びており、ドーバー海峡のみならず他のフェリー領域にも影率が出ているのが現状だし、他のフェリー領域、特に北海ルートは、イギリス海峡ルートに対抗できる代表的代替えルートで同じ全体マーケットの一部と考えるべきである。また、フェリー業者は自社港湾を持つ必要があるかどうかについて、深刻な疑問が投げかけられている。事実、現状では、自社港湾を持つフェリー業者は持たない業者との競争では不利といえるだろう。確かに、自社港湾を持っていれば競争に有利な面もあるかもしれない(たとえば、他の業者が参入しにくいという点で。ただこれは、公共の利益に反するおそれがあるが)。だがその一方で、巨額の設備投資をしなくてはならなかったり、そのような固定資産の所有者であるが故に身動きがとれなかったり、競争力が弱くなることもあるだろう。

 

1. はじめに

 

今日、トラックや車は我々の日常生活になくてはならないものになっている。それを反映して、フェリーは英国の輸送業全体の中で、一般に考えられている以上に重要な要素となっている。ここ30年、道路網の拡大や車両数の増加に伴ってフェリー産業が劇的に拡大してきたことを考えれば、当然のことである。

ここでは、少なくとも英国に関して、輸送業一般におけるフェリー産業の重要性についてありのままに記し、また海港との関連についても考えてみたい。大手フェリー会社の市場シェア検証に加え、英国のフェリー産業を、運航ルート、船舶の種類と輸送能力の面で、ある程度掘り下げて分析する。また、港湾の所有、競争、フェリー産業への投資に関する重要事項についても触れる。

また、英国経済におけるフェリー産業の重要性に鑑み、輸送業界での重要度が急激に増したにもかかわらず、まだあまり研究されていないこの産業のさまざまな側面を、さらに研究する必要があると主張する。

 

 

 

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