波総合判定を行なった。次に,基礎律動を構成する諸要素を,α波または徐波の周波数,振幅,出現部位,出現量および後頭三角波などの特徴的な波形について詳細に検討した。前回はざらにより客観的指標を得るため,脳波記録中α波の持続性の良好な10秒間を選び〕後頭部のα波を左右別に一つ一つの波形の周波数を測定し,α波平均周波数を求めたが,結果的にわれわれが通常行なっている視察判読ほぼ同様であったため,今回は個々の波形の測定は行なわなかった。後頭三角波は,3〜4Hzで多くは単発性に両側または一側の後頭部に出現し,開眼で減衰するなどの特徴をもち,振幅が出現しているα波の120%以下の徐波と定義した。また今回は後頭三角波を指標とした検討を行うこともあり,頻発しない限りは脳波総合判定には反映させないこととした。さらに突発性脳波異常についても検討した。
上記のような方法で得られたデータを集計した。後頭三角波は脳波成熟過程を考える上では重要な指標の一つであるため,入試時後頭三角波非出現群[A群;63名],入試時後頭三角波出現群[B群;32名],入試時後頭三角波を認め卒業後消失した群[B'群;16名(全例B群に含まれる)]に分類し,その脳波の特徴についての検討も行なった。
統計学的には,周波数,振幅の比較はSttdent-t検定ないしpared‐t検定を用い,分布についてはMann-Whitney U検定ないし,Wilcoxonの符号付き順位検定を用いた。
?V. 結果
1. 脳波総合判定
入試時の脳波総合判定では,95名中18名(18.9%)が境界であり,卒業後ではこれら18名のうち5名は境界のままであったが,他の13名は正常となり,卒業後は結果として82名(86.3%)が正常であった。
一方,入試時正常であった者77名のうち8名が卒業後に境界となったが,そのうち5名は基礎律動の異常で覚醒度との関係は否定できず,突発