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ある。

これらの加齢に伴う視力の変化には光学的要因と神経学的要因とが上げられている。光学的要因としては、老人性縮瞳、水晶体の黄色化が上げられる。今回我々の調査は眼内レンズ挿入眼を対象としているため、瞳孔径や眼内レンズの光学的影響が少ないと考えれば、網膜から中枢レベルでの機能を反映しているものと考えられる。眼内レンズ眼においても視力が加齢とともに低下するという今回の結果は、加齢による視力低下の原因として光学的要因以外に、網膜および中枢レベルでの視機能低下が大きな要因であることを示唆している。

 

3. 色覚の加齢変化

 

色覚は色相、明度、飽和度の3種類の属性に分けられ、それぞれ加齢による影響を受けることが報告されている。色覚の加齢変化に及ぼす主因は水晶体の黄色化とされるが、同時に老人性縮瞳、網膜機能の低下、黄斑部の加齢変化も重要な因子とされている。

今回我々は、遺伝子検索により赤錐体視物質が同一の年齢25〜57歳(平均35歳)までのボランティア56例に対し、アノマロスコープによる色合わせ検査を施行した。

 

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